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 昭和60年版 犯罪白書 第1編/第5章/第2節 

第2節 犯罪者の逃亡の国際化

 国外に逃亡している被疑者は,昭和59年末現在で,187人に上っている(警察庁刑事局の資料による。)。
 我が国が犯罪人引渡条約を締結している相手国は,アメリカ合衆国のみであるが,同国に対し正式に要請して,身柄の引渡しを受けた事例としては,法務省刑事局の資料によると昭和50年,52年に殺人各1件,54年に殺人未遂1件,57年に業務上横領1件がある。また,我が国が同国から正式請求を受け,同条約を適用して逃亡犯罪人を引き渡した事例は,56年に殺人1件,59年にみのしろ金目的拐取等2件がある。
 なお,これ以外の外国逃亡犯罪人の身柄確保の状況を警察庁刑事局の資料によって見ると,昭和59年には,捜査員を逃亡先国へ派遣して身柄を確保した事例が3件,逃亡先国における国外退去強制処分その他の理由により我が国に帰国した際に逮捕した事例が15件ある。これらのうちには,刃物を使用した連続サラ金強盗犯人が,犯行直後に国外に逃亡したため,国際刑事警察機構を通じて,所在確認を依頼し,各航空会社に所要の手配を行い,帰国したところを逮捕した事例などもある。