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 昭和59年版 犯罪白書 第2編/第3章/第5節/4 

4 外国人の日本における犯罪と被害

 II-53表は,昭和49年,57年及び58年における外国人登録法に基づく登録者及び外国人入国者を国籍別に示したものである。登録者は,58年には81万7,129人(前年より1万4,652人増)となり,入国者も逐年増加して,58年には190万597人(同19万2,291人増)となっている。登録者の国籍は82.6%が韓国・朝鮮であり,入国者の国籍で最も多いのは,中国となっている。

II-53表 国籍別外国人登録者・入国者数(昭和49年,57年,58年)

 II-54表は,昭和58年における外国人の交通関係業過及び道交違反を除く検察庁新規受理人員の罪名別及び国籍別状況を見たものである。新規受理人員総数は1万6,317人で,前年より2,631人(13.9%)減少しているが,罪名別に見ると,恐喝,麻薬取締法違反が前年より増加している。なお,外国人登録法違反が全体の27.1%を占めているが,これに次いで,窃盗(19.8%)が多く,以下,傷害(9.8%),覚せい剤取締法違反(6.0%)の順となっている。次に,国籍別に見ると,韓国・朝鮮が1万3,338人で最も多く,次いでアメリカが905人となっている。なお,警察庁刑事局の資料によれば,58年に,外国人グループによる買物客を装った金品窃取の事件が37件発生しており,注目される。

II-54表 外国人の罪名・国籍別検察庁新規受理人員(昭和58年).

 また,昭和58年の外国人による出入国管理及び難民認定法違反の検察庁新規受理人員は316人である。

II-55表 退去強制事由別摘発人員(昭和54年〜58年)

 なお,地方入国管理局において,同法に基づく退去強制手続がとられている事例について,最近5年間の退去強制事由別摘発人員を見ると,II-55表のとおりであり,総数では,近年急増傾向を示し,58年には,前年より954人(25.0%)増の4,768人に達しており,このうち相当数の者が,出稼ぎを目的に来日した者である。すなわち,不法残留者のうち約50%を占める1,516人は,資格外活動をも伴っており,これと資格外活動だけで摘発された823人を合わせると,これら出稼ぎ目的で来日した者は2,339人となり,全摘発者の49.1%を占めている。次に,これら2,339人の資格外活動の内容を男女別に見たものがII-56表である。女子が総数の91.4%を占め,その活動内容も,女子について見ると,ホステス,ストリッパー等風俗営業に従事する者が90.0%となっている点が注目される。

II-56表 資格外活動者の活動内容(昭和58年)

II-57表 新受刑者の国籍別人員(昭和57年,58年)

 II-57表は,新たに刑が確定して我が国の行刑施設に入所した外国人の数を見たものである。昭和58年における外国人新受刑者は887人であり,新受刑者総数3万725人の2.9%に当たるが,この比率は,近年,特に大きな変化は見られない。
 II-58表は,最近5年間に,日本国内において外国人が被害にあった刑法犯の認知件数を見たものである。総数で見ると,昭和54年から逐年増加してきたが,58年では,9,221件で前年より630件(6.4%)減少している。罪名別に被害件数を見ると,窃盗が7,445件(80.7%)で最も多く,次いで,傷害が503件(5.5%),詐欺345件(3.7%),暴行244件(2.6%)の順になっている。前年より増加しているものは,殺人,脅迫,横領,放火である。