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 昭和59年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節 

第5節 過激派集団の犯罪

 昭和58年における過激派集団による不法事犯としては,新東京国際空港第二期工事阻止闘争及び米空母寄港阻止闘争等のいわゆる反核・反安保闘争をめぐる空港関連施設や米軍,自衛隊関連施設に対するゲリラ事犯等の続発が注目されたが,49年をピークに逐年減少傾向にある内ゲバ事犯は,前年9半分の3件へと更に減少を続け,44年以来続いていた内ゲバ事犯による死者の発生も見ていない。また,爆発物使用事犯は55年以降1件も発生していない。
 I-38表は,最近3年間におけるゲリラ事犯の認知件数を見たものである。昭和58年は17件と前年より14件減少したが,時限式可燃物を使用して空港関連建設業者の作業所に放火し,民間人2名を焼死させた事件,遠隔操作式自動発進・発火装置付自動車による米軍施設放火事件,首都圏の米軍施設及び空港関連施設合計5か所に対する時限式可燃物等を使用した首都圏同時多発ゲリラ事件等に見られるように,事犯は一段と悪質,巧妙化している。
 このように過激派集団は,依然,ゲリラ闘争を志向しておりまた,内ゲバ事犯は減少傾向にあるものの再燃のきざしも窺われ,今後の動向には,なお十分な警戒が必要であろう。

I-38表 ゲリラ事犯認知件数(昭和56年〜58年)