前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第4章 

第4章 各国の暴力犯罪の実情

 我が国は,急速な経済成長とこれに伴う社会変動を経て,欧米諸国とほぼ同様の社会構造を持つに至ったと言われている。ところで,欧米諸国では,近年,暴力犯罪の著しい増加に悩んでいるのに対して,我が国ではこれらの犯罪が減少する傾向にある。しかし,今後,社会的,経済的及び文化的諸条件の変化に伴って,欧米のように増加に転じるおそれがないとは言い切れず,これら欧米諸国の暴力犯罪の実情と対策を知ることは極めて重要と思われる。そこで,本章では,欧米諸国のうち,アメリカ,イギリス,ドイツ連邦共和国及びフランスの4箇国について,入手し得た最近の公的統計資料に基づき,殺人,強盗,強姦及び傷害を中心に,これら各国の暴力犯罪の動向と取締りの実情等を概観するとともに,我が国のそれとを比較・検討することにした。