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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第1章/第5節/1 

1 概  況

 II-24表は,通り魔事件の発生,検挙の状況を示したものである。昭和57年の発生件数は,56年と比較すると,総数で72件(28.3%)減少しているが,これは,傷害で36件(32,1%),暴行で3件(12.0%),器物損壊で39件(35.5%)とそれぞれ減少していることによるもので,最も重大な殺人は6件(85.7%)増と急増しており,なお警戒を要するところである。検挙率を見ると,殺人が100.0%となっているのが注目を引くほかは;大きな変動はない。しかし,57年における通り魔事件を含む上記各犯罪の検挙率は,殺人97.1%,傷害93.9%,暴行93.0%,器物損壊30.5%となっており,殺人を別にすれば,全般的に見て通り魔事件の検挙率は低い。これは,この種事件が,被害者と無関係な通りすがりの犯人による犯行であるため,犯人が逃走した場合,その特定及び検挙が困難となることによるものと思われる。

II-24表 通り魔事件の発生・検挙状況(昭和56年,57年)