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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第1章/第3節/3 

3 暴力団関係者の処遇

 昭和57年における交通関係業過及び道交違反を除く事件について,検察庁の処理状況を見ると,II-15表のとおりである。起訴及び不起訴人員の総数は1万7,456人で,うち,起訴人員は1万4,665人(起訴率84.0%),起訴猶予人員は1,736人(起訴猶予率10.6%)となっている。57年における全既済人員の起訴率は65.3%,起訴猶予率は29.8%であり,暴力団関係者と全既済人員とを比較すると,起訴率は暴力団関係者が大幅に上回り,一方,起訴猶予率は大幅に下回っている。罪名別に見ても,罪名のほとんどで,暴力団関係者の起訴率は全既済人員のそれよりも高く,起訴猶予率は低くなっている。公判請求率について見ると,暴力団関係者の73.6%に対し,全既済人員では54.7%となっており,暴力団関係者が全既済人員を大幅に上回っている。
 II-16表は,昭和57年に,裁判の確定により新たに刑務所に入所した暴力団加入受刑者及び暴力団加入者を除く一般受刑者について,罪名別に懲役刑の刑期別構成比を見たものである。これを主たる暴力犯罪である殺人,強盗,強姦について見ると,殺人で5年を超える者は,暴力団加入者では63.2%であるのに対し,一般受刑者では54.1%であり,同様に強盗では,49.0%に対し28.1%となっている。また,強姦で3年を超える者については,暴力団加入者が47.9%であるのに対し,一般受刑者では36.9%であり,いずれも暴力団加入者の方が重く罰せられる者の比率が高い。
 II-17表は,裁判の確定により新たに刑務所に入所した暴力団加入受刑者を入所度数別に見たものである。初人者が減少して入所2度以上の再入受刑者が増加する傾向を示しており,昭和57年においては,再入者の占める割合は71.2%(暴力団を除く一般新受刑者では55.7%)という高率に上り,総数の増加とも合わせて,悪質化の状況を物語っている(第3編第3章第1節8参照)。

II‐15表 暴力団関係者の罪名別起訴率及び起訴猶予率(昭和57年)

II-16表 暴力団加入新受刑者及び一般新受刑者の罪名・刑期別構成比(昭和57年)

II-17表 暴力団加入新受刑者の入所度数別人員の構成比(昭和45年,50年,55年〜57年)