IV-3図は,昭和56年における覚せい剤事犯の地域別検挙人員を,人口10万人当たりの人口比によって見たものである。人口比の全国平均は19.1であるが,和歌山が39.8で最も高く,沖縄が2.3で最も低い。平均を超える地域は,21都道府県にわたるが,上位10県をあげて見ると,和歌山をはじめ,群馬(35.0),岡山(32.0),香川(30.8),東京(30.5),愛媛(28,6),福岡(27,O),北海道(26.9),茨城(26.0),佐賀(25.5)などであり,覚せい剤事犯が大都市地域に限らず,全国的に広がっていることが分かる。
IV-6表は,最近5年間における覚せい剤事犯の態様別検挙人員を見たものである。密輸出入及び密製造による検挙人員は,昭和54年以降減少して,56年には,それぞれ54人,2人となっているが,覚せい剤事犯の8大部分を占める所持及び使用は,逐年増加して,56年には所持が5,975人,使用が9,553人になっている。
IV-3図 覚せい剤事犯検挙人員の都道府県別人口比(昭和56年)
IV-7表は,最近5年間における麻薬事犯の検挙人員の違反態様別人員及び構成比を示したものである。麻薬取締法違反について見ると,所持及び施用には,大きな変化は見られない。昭和56年における違反態様別構成比では,譲渡・譲受が総数の34.7%で最も多く,次いで,所持の32.7%,密輸出入の21.4%の順となっている。大麻取締法違反を見ると,密輸出入が増加しているのが注目される。所持,譲渡・譲受は,余り変化が見られない。あへん法違反について見ると,その大部分を占めるけしの栽培は,逐年増加し,56年における栽培は96。6%となっている。
IV-6表 覚せい剤事犯態様別検挙人員(昭和52年〜56年)
IV-7表 麻薬事犯態様別検挙人員(昭和52年〜56年)
IV-8表 麻薬・覚せい剤等の押収量(昭和52年〜56年)
IV-4図 麻薬・覚せい剤事犯検挙人員の年齢層別構成比(昭和56年)
IV-8表は,最近5年間における麻薬・覚せい剤等の押収量を示したものである。昭和56年における覚せい剤の押収量は,前年よりやや減少しているものの142.097kgにも上っている。また,LSDの押収量は前年より減少しているが,逆に,ヘロインの押収量は,前年より大幅に増加している。
IV-4図は,昭和56年における麻薬・覚せい剤事犯検挙人員の年齢層別構成比を示したものである。覚せい剤取締法違反では,30歳以上が最も多く,総数の57.9%を占めているが,25歳未満の若年成人及び少年が28.7%を占め,前年に比べると2.9%増加している。麻薬取締法違反では,若年成人・少年の比率が49.7%から43.9%へ減少している。大麻取締法違反における若年成人・少年の比率は,前年の62.1%から55.5%へ減少したものの,依然として高率を示している。あへん法違反では,不正栽培事犯が大多数であることを反映して,30歳以上が96.9%を占めている。