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 昭和57年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/4. 

4. 収容少年の特性

(1) 非行名と年齢層
 III-44表は,昭和56年における家庭裁判所関係鑑別終了少年1万9,460人について非行名と年齢層との関係を見たものである。非行名では,窃盗が最も多く,総数の31.3%を占め,次いで,虞犯の11.9%,道路交通法違反の11.2%,覚せい剤取締法違反の8.2%の順である。
 年齢構成を見ると,16歳未満の年少少年が16.2%,16歳以上18歳未満の中間少年が38.8%,18歳以上の年長少年が45,O%であり,年長少年が最も多い。性別では,男子が総数の87.3%(1万6,993人)であり,女子は12.7%(2,467人)を占めている。年齢層と性別との関係を見ると,男子の場合,年少少年は13.2%,中間少年は38.2%,年長少年は48.7%であるのに対して,女子は,それぞれ,37.5%,42.9%,19.6%であり,年少少年の占める比率は女子に多く,年長少年の占める比率は男子に多い。
 次に,非行名と年齢層との関係を性別で見ると,男子では,いずれの年齢層においても,窃盗の比率が総数のおおむね3分の1以上で第1位を占め,女子の比率よりもかなり高い。一方,女子の場合,窃盗の比率は第2位ないしは第3位であるのに対して,虞犯の比率は男子と比べて著しく高く,特に,年少少年では74.6%,中間少年では49.3%を占めている。また,女子の覚せい剤取締法違反は,年少少年では1.9%にすぎないが,年長になるにしたがって,その比率が急激に上昇し,年長少年では,男子が10.7%であるのに対して,女子では45.8%と非行名では第1位を占めている。

III-44表 非行名別-年齢層別構成比

III-45表 非行名別・非行時の身上別構成比(昭和56年)

III-46表 非行名別・入所回数別構成比(昭和56年)

(2) 非行時の身上
 収容少年の非行名と非行時の身上関係を見ると,III-45表のとおりである。非行時に保護処分等の保護的措置が継続していた者は,総数の35.6%を占めている。このうち,保護観察処分による者は23.6%,少年院仮退院中の者は6.8%,試験観察中の者は3.8%である。これを非行名との関係で見ると,毒物及び劇物取締法違反の場合,なんらかの保護的措置を受けていた者が過半数(51.6%)を占めている。
(3) 非行名と入所回数
 収容少年の非行名と少年鑑別所入所回数との関係は,III-46表のとおりである。入所初回の者が,収容少年総数の72.2%と大部分を占めている。入所回数と非行名との関係を見ると,入所回数2回以上の少年の場合,強盗,強姦・わいせつ又は放火の各構成比は,おおむね14%ないし16%であるのに対して,窃盗・詐欺・横領,覚せい剤取締法違反並びに毒物及び劇物取締法違反では,おおむね31%ないし35%となっている。
(4) 知能及び精神状況
 収容少年の知能を知能指数によって見ると,知能指数59以下は1.3%,60〜69は4.3%,70〜79は19.5%,80〜89は26.3%,90〜99は26.7%,100〜109は15.5%,110〜119は5.2%,120以上は1.2%である。
 III-47表は,収容少年の非行名と精神診断の関係を見たものである。精神障害のある者は,総数の2.5%であり,その内訳は,精神薄弱1.3%,精神病質0.2%,神経症0.1%,その他の精神障害0.9%であり,精神薄弱が精神障害者の半数を占めている。精神障害と非行との関係では,殺人のうちの18.1%,放火のうちの19.2%の少年にそれぞれ精神障害があり,他の非行よりも精神障害者の占める比率が高い。

III-47表 非行名別・精神診断別構成比(昭和56年)

(5) 入所前の問題行動
 収容少年の少年鑑別所入所前における問題行動を男子(1万6,993人)と女子(2,467人)に分けて見ると,性経験のある者は,男子が71.8%,女子が89.5%,家出歴のある者は,男子が45.1%,女子が84.4%,覚せい剤又は麻薬濫用歴のある者は,男子が11.1%,女子が28.1%,有機溶剤濫用歴のある者は,男子が59.1%,女子が64.7%,自動車の無免許運転歴のある者は,男子が65.2%,女子が16.2%であり,自動車の無免許運転歴を除いては,一般に女子収容者に入所前の問題行動のある者が多いことが分かる。