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 昭和57年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/3 

3 鑑別状況

 III-7図は,観護措置収容少年に対する標準的な鑑別手続きを示したものである。鑑別のための調査は,面接,心理検査,精神及び身体医学的検査,行動観察,生活史・環境資料によるほか,前記の探索処遇等の方法によって行われる。これらの調査結果をもとに,少年の人格と非行性との関連,問題点の所在及び特徴,処遇上の指針等について記載した「鑑別結果通知書」が作成され,審判の資料として,また,保護処分決定後の処遇方針にも役立てるために家庭裁判所へ送付される。また,鑑別の結果は,「少年簿」に記載し,保護処分の決定がなされた場合,決定先の少年院又は保護観察所へ送付される。

III-7図 少年鑑別所における鑑別の手続(収容鑑別)

 少年鑑別所では,収容少年以外に,在宅のまま家庭裁判所に事件が係属している少年,少年院や保護観察所,検察庁のほか,一般家庭や学校から依頼を受けた少年に対しても鑑別を行っている。これらの依頼による鑑別に対しても,また,面接調査のほか,必要に応じて心理検査,医学上の検査が実施されている。なお,法務省においては,精密な鑑別又は調査を必要とする問題性の有無を確認する方法として,知的側面,性格,非行等に関する簡易検査を行い,その集計,各検査の簡易所見の記載までを電子計算機によって処理する方式(CAC方式Computer-aided Classification)を開発し,現在,試行している。

III-41表鑑別受付人員 (昭和54年〜56年)

 昭和56年における少年鑑別所の鑑別受付人員は,III-41表のとおり,4万4,666人であり,前年に比べて707人,1.6%の減少となっている。これは,収容鑑別が前年より1,566人増加したものの,法務省関係及び一般からの依頼による鑑別が2,042人減少したことに起因している。56年における鑑別受付人員の内訳では,収容鑑別が総数の48.3%を占め最も多く,次いで法務省の保護機関からの依頼が13.1%である。後者からの受付人員5,847人のうち,97.0%は交通事犯者,特に,交通短期保護観察処分少年に対する鑑別が主となっている。

III-42表 鑑別判定別人員(昭和54年〜56年)

 III-42表は,家庭裁判所関係鑑別判定終了少年の鑑別判定別人員及び構成比を示したものである。昭和56年における鑑別終了人員は,1万9,258人であり,そのうち,最も多い鑑別判定は,在宅保護の1万28人(52.1%)であり,次いで収容保護の8,734人(45.4%)である。

III-43表 審判決定別人員(昭和54年〜56年)

 次に,上記の者について,家庭裁判所が行った審判決定別人員及び構成比は,III-43表のとおりである。昭和56年における審判決定のうち,比率の最も高いものは,保護観察の41.4%,次いで,収容保護の27.1%,試験観察の16.5%,不処分・審判不開始の7.3%の順である。
 少年院送致の決定のあった少年に対しては,まず,家庭裁判所が送致する少年院の種類を指定し,これを受けた少年鑑別所長が各矯正管区長の定めた収容区分に従って,具体的な送致少年院の指定を行っている。しかし,家庭裁判所が少年院送致の決定に当たって,短期処遇を行うことが適当である旨の処遇勧告を行った場合には,短期処遇を行う少年院に収容することとされている。