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 昭和57年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/2 

2 少年審判

 III-31表は,昭和40年,50年,54年,55年及び56年における家庭裁判所受理人員を事件の種類別に見たものである。56年における受理人員総数は61万7,212人で,前年より3万2,582人(5.6%)増加している。そのうち,道路交通保護事件が53.2%の32万8,081人を占め,一般保護事件は46.8%の28万9,131人である。一般保護事件の内訳を見ると,業過を除く刑法犯が66.4%,業過が19.6%,特別法犯が12.6%,虞犯が1.5%となっている。一般保護事件のうち,業過を除く刑法犯及び業過は前年より増加しているが,特別法犯と虞犯は減少している。56年における受理人員総数は,40年に比べ46万805人の減少となっているが,これは道路交通保護事件の減少(50万5,291人)によるもので,一般保護事件では40年より4万4,486人の増加となっている。

III-31表 少年保護事件の家庭裁判所受理人員(昭和40年,50年,54年〜56年)

 III-32表は,業過及び虞犯を除く一般保護事件について,昭和40年,50年,54年,55年及び56年(ただし,56年は虞犯を含む。)における家庭裁判所の処理状況を見たものである。56年の処理人員総数は,前年より1万9,006人増の19万1,795人で,そのうち,刑事処分相当として検察官に送致された人員は781人(0.4%)で,前年より43人減少している。56年に少年院送致及び保護観察の処分を受けた少年は,それぞれ4,617人(2.4%),1万5,002人(7.8%)である。また教護院・養護施設送致は0.1%である。56年において審判不開始及び不処分とされた少年の比率は全体の88.8%で,前年より0.1%減少している。56年において,刑事処分相当として検察官送致となった者,少年院送致となった者及び保護観察となった者の各比率は,40年に比べるといずれも大幅に下降している。

III-32表 少年一般保護事件の家庭裁判所処理人員(昭和40年,50年,54年〜56年)

III-33表 中間・年長少年一般保護事件の罪種別家庭裁判所処理人員(昭和40年,50年,53年〜55年)

III-34表 少年一般保護事件の罪名別家庭裁判所処理人員(昭和55年)

 III-33表は,昭和40年,50年,53年,54年及び55年における業過及び虞犯を除く一般保護事件の中間少年及び年長少年について,家庭裁判所の処理状況を罪種別に見たものである。長期的に見ると,検察官送致及び保護処分の各比率は下降しているが,55年においては,凶悪犯の検察官送致を除き,総数及び各罪種で,検察官送致及び保護処分とも前年より上昇している。
 III-34表は,昭和55年における業過及び虞犯を除く一般保護事件の家庭裁判所処理状況を罪名別に見たものである。処理人員総数は17万2,789人で前年より1万7,079人増加している。そのうち,窃盗が10万9,786人(63.5%)と最も多く,以下,毒物及び劇為取締法違反の1万8,205人(10.5%),横領の9,845人(5.7%),傷害の7,564人(4.4%)の順となっている。刑事処分相当として検察官に送致された少年は,前年より181人増の824人で,そのうち,窃盗が141人(17.1%)と最も多く,以下,傷害の128人(15.5%),覚せい剤取締法違反の111本(13.5%),強姦の59人(7.2%)の順となっている。

III-35表 少年一般保護事件の前処分歴別家庭裁判所処理人員(昭和55年)

 III-35表は,昭和55年における家庭裁判所の交通関係業過を除く一般保護事件の処理状況を処分歴別に見たものである。処分歴のない少年は0.2%が検察官に送致され,5.7%が保護処分に付されているが,処分歴のある少年では,1.4%が検察官に送致され,28.5%が保護処分に付されており,しかも,処分歴の回数が多くなるにつれて,検察官送致,保護処分の比率が高くなっている。

III-36表 交通事犯少年の家庭裁判所処理人員(昭和40年,50年,53年〜55年)

 III-36表は,昭和40年,50年,53年,54年及び55年における交通事犯少年に対する家庭裁判所の処理状況を見たものである。業過の処理状況を見ると,検察官に送致される少年の比率は,40年当時は38.7%であったが,逐年減少し,55年では11.2%である。一方,少年院送致と保護観察を合計したものの比率は,40年の4.8%,50年の8.6%,55年の25.4%と大幅に上昇している。次に,道交違反の処理状況を見ると,40年当時16.0%の検察官送致の比率は,51年に19.6%に達したが,その後は下降し,55年には13.8%となっている。少年院送致と保護観察を合計したものの比率は,40年当時0.8%から上昇し,55年では11.8%となっているが,そのほとんどは保護観察であり,少年院送致は205人(0.08%)にすぎない。
 III-37表は,昭和40年,50年,53年,54年及び55年における虞犯少年に対する家庭裁判所の処理状況を見たものである。少年院送致及び保護観察処分となった少年は,実数も,総数に対する比率も50年以降上昇し,55年では,両者の合計は,実数で1,394人,比率で42.8%となり,犯罪少年に比べ相当高い比率を示している。

III-37表 虞犯少年の家庭裁判所処理人員(昭和40年,50年,53年〜55年)