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 昭和57年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/3 

3 少年の刑事裁判

 家庭裁判所から刑事処分相当として検察官に送致された少年の98%強が業過及び道交違反であって,その約98%が略式手続によって処理されているため,公判請求される少年はごく一部にすぎない。

III-38表 少年の罪名別通常第一審有罪人員(昭和53年〜55年)

 III-38表は,昭和53年以降の3年間において,通常第一審で有罪裁判を受けた少年の科刑状況を見たものである。55年における有罪人員総数は712人で,前年より43人(6.4%)増加している。55年においては,無期刑を言い渡された者はなく,有期の懲役・禁錮な言い渡された少年は666人であるが,その79.0%に当たる526人に執行猶予が言い渡され,実刑となった者は140人(前年は159人)である。罪名別に見ると,業過が全体の54.1%を占め,以下,道路交通法違反(11.9%),窃盗(6.7%),覚せい剤取締法違反(5.8%)の順となっており,覚せい剤取締法違反は54年は16人(2.4%)であったので55年は著しく増加している。なお,通常第一審の裁判所は,事実審理の結果,刑事処分よりも保護処分に付するのが相当であると認めたときは,少年法第55条により,事件を家庭裁判所に移送しなければならないが,このようにして移送された者は,53年に10人,54年に7人,55年に7人となっている。