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 昭和57年版 犯罪白書 第2編 /第4章/第2節/3 

3 保護観察の終了

(1) 保護観察終了時の状況
 昭和56年に保護観察を終了した総人員は,8万4,912人であり,このうち,交通短期保護観察処分少年3万2,369人を除いた5万2,543人について,保護観察対象者の種類別に終了事由別人員を見ると,II-72表のとおりである。保護観察処分少年について見ると,解除によって終了した者が67.7%を占め,一方,12.2%の者が,再犯等を理由に新たな処分を受けたことにより,保護処分を取り消されて終了している。少年院仮退院者では,満期又は満齢によって終了した者が60.1%を占め,退院による者が19.9%,戻し収容による者及び保護処分取消しによる者の合計が19.3%である。仮出獄者では,期間満了によって終了した者が93.4%と極めて高く,仮出獄取消しによる終了者は5.4%にすぎない。保護観察付執行猶予者では,期間満了による終了者が68.3%であり,執行猶予の取消しによる終了者が30.1%と高い比率を示している。I-4図は,これを図示したものであり,満期又は満齢終了者については,保護観察成績別の構成比を示している。良好措置によって保護観察を終了した者及び成績良好で満期又は満齢に至った者の合計の割合を見ると,保護観察処分少年が73.5%で最も高く,保護観察付執行猶予者の41.1%,少年院仮退院者の38.5%がこれに次ぎ,仮出獄者が29.0%で最も低い。
(2) 保護観察中の再犯等
 昭和56年に保護観察を終了した者のうち,交通短期保護観察処分少年を除いた者について,保護観察期間中に,再度の犯罪・非行により刑事処分(起訴猶予を含む。),又は保護処分を受けた者の比率(以下「再犯率」という。)を,主要罪名・非行名別に見ると,II-73表のとおりである。処分を受けた者の総数は9,822人で,再犯率は18.7%となっている。保護観察対象者の種類別に再犯率を見ると,保護観察付執行猶予者の36.1%が最も高く,仮出獄者の2.3%が最も低い。仮出獄者の再犯率が著しく低いのは,保護観察期間が概して短いことによるものと考えられる。罪名・非行名と再犯率との関係を見ると,総数においては,毒物及び劇物取締法違反の29.4%が最も高く,以下,虞犯25.1%,恐喝24.1%,窃盗22.9%の順である。保護観察処分少年では,恐喝の33.7%が最も高く,毒物及び劇物取締法違反の30.6%がこれに次ぎ,少年院仮退院者では,詐欺38.5%,窃盗34.5%,仮出獄者では,強盗7.8%,窃盗及び強姦の各3.7%,保護観察付執行猶予者では,覚せい剤取締法違反52.2%,毒物及び劇物取締法違反48.1%の順となっており,特に,保護観察付執行猶予者における覚せい剤取締法違反が,50%を超える高い再犯率を示していることが注目される。なお,II-74表は,最近3年間における再犯率の推移を見たものであるが,56年の再犯率は,前年と比較して全般的に低下している。

II-4図 保観護察終了事由別構成比

II-73表 保護観察終了者の主要罪名・非行名別再犯率(昭和56年)

II-74表 保護観察終了者の保護観察中における再犯率(昭和54年〜56年)

II-75表 仮出獄者と満期釈放者の再入所状況(昭和50年〜54年)

 仮出獄者に対する保護観察の実施結果を刑務所への再入所状況で見ると,II-75表のとおりである。昭和50年から54年までに仮出獄で出所した者のうち,出所後第3年目までに21.5%ないし28.5%の者が再入所している。なお,これを満期釈放で出所した者の出所後第3年目までの再入所率と比較すると,いずれの年においても,仮出獄者の再入所率は満期釈放者のそれのおおむね半分となっている。