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 昭和57年版 犯罪白書 第2編 /第3章/第3節/1 

第3節 未決拘禁者等の処遇

1 未決拘禁者の処遇

 II-54表は,昭和40年以降における未決拘禁者の行刑施設への人出所人員を見たものである。入所人員は51年以降漸減していたが,56年は,被疑者が1万5,427人,被告人が5万3,293人,合計6万8,720人で,前年より1,958人増加している。
 未決拘禁者は,拘置所若しくは拘置支所,又は刑務所の特別区画である拘置場に収容されるほかに,いわゆる代用監獄(警察官署附属の留置場)に拘禁される者もいるが,その数は,国が都道府県へ償還した拘禁費用の実績から算出すると,昭和56年では,延べ193万857人であり,1日平均収容人員は5,290人である。

II-54表 未決拘禁者の入出所人員(昭和40年,45年,50年,55年,56年)

 未決拘禁者の処遇は,受刑者とは異なり,逃走及び証拠隠滅の防止と施設の規律維持が基調となっている。居房は,原則として独居房であり,雑居房に収容される場合でも,同一事件に関係のある者は居房を別にし,居房外においても接触の機会がないように配慮されている。
 衣類及び寝具は,自弁が原則であり,糧食や日用品についても,規律及び衛生に害のない限り,かなり広範にわたり自弁が許されている。面会及び通信については,管理上やむを得ない場合を除いては,その相手方・回数に制限はない。特に,弁護人との面会については,立会人を付けないこととし,被疑者・被告人としての防御権が保障されている。通信の内容については,検閲が行われる。
 図書,雑誌及び新聞については,未決拘禁の目的に反せず,かつ,施設の規律を害するおそれのない限り,閲読が許されている。もとより作業は強制されないが,請願作業が許され,就業者には作業賞与金が支給される。