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4 傷害罪 I-113表は,傷害罪により懲役刑に処せられた者について,昭和29年以降の科刑状況及び執行猶予率を見たものである。執行猶予率は,おおむね50%を超えているが,46年の60.0%を最高に,長期的には下降傾向にあると言えよう。執行猶予者中,保護観察に付される者の比率を見ると,各年次とも,おおむね20%を超えており,最高は45年の30.1%である。
I-114表は,昭和29年以降55年までの各年次に執行猶予の言渡しを受けた者について,保護観察の有無別に,その取消しの状況を見たものである。まず,保護観察付執行猶予について見ると,各年次とも,おおむね20%を超えている。なお,執行猶予期間未経過の者を含む53年で,既に31.8%を記録していることは注目すべきであろう。また,取消しを受けた者のうち,同一罪名(傷害)による再犯で取り消された者の比率を見ると,44年以前は30%を超えている年次が相当数あるが,45年以降51年までは30%以下となっていた。ところが,52年には35.0%,54年には38.5%となっている。 次に,単純執行猶予を言い渡された者について,その取消しの状況を見ると,昭和34年まで取消率は10%を超えていたが,35年から48年まではおおむね10%以下となっていた。しかし,49年から再び10%を超える年次が多く,執行猶予期間未経過の者を含む53年で,既に12.9%となっている。また,取消しを受けた者のうち,同一罪名による再犯で取り消された者の比率を見ると,46年以前は30%を超える年次が多かったが,47年以降は20%台の年次が多くなっている。しかし,53年には35.9%を記録しており,上昇傾向がうかがわれる。同一罪名以外で取り消される者では,恐喝罪による者が比較的多く,おおむね10%を超えていたが,51年以降,覚せい剤取締法違反による者が増加し,おおむね20%を超えるに至っている。 I-113表 傷害事犯者の懲役刑科刑状況及び執行猶予率(昭和29年〜56年) I-114表 傷害事犯者の懲役刑執行猶予取消人員及び取消率(昭和29年〜55年) 保護観察付執行猶予と単純執行猶予を比べると,取消率は,おおむね前者が後者の2倍ないし3倍となっている。 |