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 昭和57年版 犯罪白書 第1編/第2章/第6節/3 

3 日本人の国外犯

 I-50表は,最近5年間における日本人の出国者を渡航先別に示したものである。昭和54年まで年々増加してきた出国者の総数は,55年には減少したが,56年には,再び前年より増加し,400万6,388人となっている。これを渡航先別に見ると,56年は,アメリカが34.0%,アジア地域が50.5%を占め,前年とほぼ同様の傾向となっている。
 日本人の国外における犯罪について,国際刑事警察機構等を通じて警察庁が通報を受理した件数は,I-51表のとおりである。通報受理件数は,昭和52年の114件から54年の139件まで増加したが,55年には102件に減少し,56年では105件となっている。なお,通報された人員は127人で,前年より16人増加している。罪種別の通報受理件数を見ると,麻薬・覚せい剤事件が前年同様30件(28.6%)で最も多く,傷害・暴行が15件(14.3%)で続いている。殺人がこの5年間の最高の7件となっていることは注目される。特異な事件として,パリにおけるオランダ人女子学生殺害事件などがある。

I-51表 日本人国外犯の罪種別通報受理件数(昭和52年〜56年)

 なお,昭和56年の犯罪地を見ると,韓国が19件で最も多く,以下,アメリカ(14件),イギリス(10件),フィリピン及びドイツ連邦共和国(各7件)インド(5件),スペイン及びイタリア(各4件)などとなっており,世界の各地に及んでいる。