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第3章で述べた欧米諸国の少年非行の動向のうち,アメリカ及びドイツ連邦共和国について,1979年の刑法犯総数及び主要6罪種の少年比及び青・少年比を,日本と対比させて一表にまとめて見ると,IV-91表のとおりである。我が国の刑法犯総数における少年比39.0は,ドイツ連邦共和国の22.3をはるかに超え,アメリカの38.8さえわずかながら超えている。殺人及び強盗については両国よりかなり低いが,傷害及び放火についてはドイツ連邦共和国を超え,窃盗及び強姦については3箇国中の最高である。青・少年比について見ると,我が国の45.1はアメリカの57.1より低いが,ドイツ連邦共和国の35.5をはるかに超えている。殺人,強盗,傷害及び放火については両国より低いが,窃盗及び強姦についてはドイツ連邦共和国を超えている。(なお,我が国の「青年」には20歳の検挙人員を含んでいないため,他の二国と同様に我が国についても20歳の検挙人員を含めて青・少年比を算出すれば,同表の数値よりも更に高くなるはずであるが,年齢別統計がないので算出できない。)
IV-91表 アメリカ・ドイツ連邦共和国及び日本における刑法犯検挙人員の主要罪種別少年比(及び青・少年比) 次に,3箇国の少年人口比及び青年人口比を,1978年の刑法犯総数及び主要6罪種について一表にまとめて見ると,IV-92表のとおりである。我が国の刑法犯総数における少年人口比11.4はドイツ連邦共和国の35.8より著しく低い(アメリカの刑法犯総数の人口比は,指標犯罪のみに関するので,比較の対象にならない。)。主要罪種別の少年人口比を見ると,殺人については,我が国(0.4)はアメリカ(5.6)の約15分の1,ドイツ連邦共和国(1.9)の約5分の1であり,強盗については,我が国(2.2)はアメリカ(154.5)の約70分の1,ドイツ連邦共和国(63.9)の約30分の1であるなど,我が国の少年人口比は6罪種のすべてについて著しく低い。青年人口比についても,我が国の数値は両国より著しく低くなっている。なお,人口比については,各国の検挙率の差異を考慮に入れる必要がある。検挙率の高低は,検挙人員,したがって人口比に影響を及ぼすからである。例えば,我が国の強盗の検挙率は1978年において78.0であり,アメリカの25.9の約3倍であるから,実際の人口比における両国の格差は一層著しいものになるであろう。なお,欧米諸国と日本の刑法犯総数及び主要6罪種の1979年の検挙率は,IV-93表のとおりである。IV-92表 アメリカ・ドイツ連邦共和国及び日本における少年刑法犯検挙人員の主要罪種別少年人口比(及び青年人口比) IV-93表 欧米諸国及び日本における刑法犯主要罪種別検挙率 以上のとおり,我が国の少年非行は,人口比において,欧米諸国と比べて著しく低い。これは犯罪発生率が低く,治安が良好な我が国の現実を反映するものであろうが,しかし,最近10年間における少年検挙人員の増加率は約1.4倍と著しく高く(第1編第1章I-8図),また,少年比が示すように,犯罪に関与する少年の割合はますます高まっており,既に欧米並みの水準に達し,殺人及び強盗を除き,刑法犯総数,傷害,窃盗,強姦及び放火ではドイツ連邦共和国を超えるに至っている。 |