最近3年間における少年院新収容者の処遇課程等別人員は，IV-48表に示すとおりである。少年院に新たに送致された者の人員は，昭和50年以降，増加傾向にあるが，55年には，前年に比べて一般短期処遇は25.6%増の1,512人，交通短期処遇は52.3%増の230人，長期処遇は9.5%増の2,978人となった。総数では，前年に比べて646人(15.9%)増加して4,720人となった。また，性別に見ると，男子の増加が645人(18.1%)であるのに対して，4年連続して前年比20%以上の増加を続けていた女子は，1人(0.2%)の増加にとどまっている。

IV-48表　新収容者の処遇課程等別人員及び構成比(昭和53年〜55年)

　IV-49表は，新収容者の年齢別人員を短期処遇の区分及び長期処遇別に見たものである。年少少年(14歳・15歳)の全体に占める比率は，昭和55年で13.9%(長期処遇15.1%，一般短期処遇13.5%)と低く，年長少年(18歳以上)は49.6%(長期処遇49.7%，一般短期処遇46.0%，交通短期処遇71.3%)と約半数を占めている。しかしながら，女子のみについて見ると，年少少年の全体に占める比率は33.3%(長期処遇30.1%，一般短期処遇39.9%)，中間少年(16歳・17歳)は46.2%(長期処遇48.0%，一般短期処遇42.8%)であり，年長少年は20.5%(長期処遇22.0%，一般短期処遇17.3%)にすぎない。このように，男子に年齢の高い者が多く，女子は逆に年齢の低い者が多くなっており，女子収容者の低年齢化が続いている。

IV-49表　短期処遇の区分及び長期処遇別新収容者の年齢別人員(昭和53年〜55年)

　IV-50表は，前表と同様の区分によって新収容者の非行名別人員を見たものである。例年のとおり窃盗が最も多いが，昭和55年には，前年より4.0%下降して41.8%(長期処遇47.0%，一般短期処遇36.8，交通短期処遇7.0%)となっている。窃盗以外の非行名の中で，その占める比率を長期処遇と一般短期処遇について比較すると，長期処遇に高いのは殺人，強盗，放火，覚せい剤取締法違反及び虞犯等で，一般短期処遇に高いのは傷害，強姦・わいせつ，業過，暴力行為等処罰法，毒物及び劇物取締法及び道路交通法違反等である。なお，交通短期処遇では82.2%が，業過及び道路交通法違反である。全体として見ると，刑法犯の占める比率が逐年下降しているのに対し，特別法犯のそれが上昇し，55年には17.2%となっている。これは，主に，覚せい剤取締法違反及び道路交通法違反の増加によるものである。女子では虞犯が最も多く，全体の46.6%を占めているが，覚せい剤取締法違反が16.4%を占めていることは注目される。

IV-50表　短期処遇の区分及び長期処遇別新収容者の非行名別人員(昭和53年〜55年)

　IV-51表は，前表と同様の区分によって新収容者の処分歴別構成比を見たものである。処分歴のある者の占める比率は，交通短期に最も高く約9割で，長期処遇と一般短期処遇で約8割となっている。しかし，長期処遇では，教護院・養護施設送致及び少年院送致歴のある者の占める比率が高いのに対し，一般短期処遇及び交通短期処遇では，審判不開始・不処分歴のある者の占める比率が高くなっている。保護観察歴のある者の占める比率は，交通短期処遇が最も高く58.2%であるが，一般短期処遇及び長期処遇においても，それぞれ，55.0%，53.2%となっており，三者の間に大差はない。なお，長期処遇の25%強の者は，過去に少年院送致歴を有している者によって占められている。

IV-51表　短期処遇の区分及び長期処遇別新収容者の処分歴別構成比(昭和55年)

　前表と同様の区分によって新収容者の教育歴別構成比を見ると，高校在学・中退以上の教育歴を有する者の占める比率は，交通短期処遇が最も高く，一般短期処遇，長期処遇の順に低くなっている。また，中学在学中の者は，長期処遇で10.9%，一般短期処遇で9.0%と全体の約1割を占めている。
　IV-19図は，前表と同様の区分によって新収容者の不良集団加入歴別構成比を見たものである。例年のとおり，昭和55年には，反社会的傾向の最も強い暴力組織に加入歴のある者の占める比率は，長期処遇に最も高く，交通短期処遇にはいない。しかし，例年に比べて大きく異なっていることは，暴走族に加入歴のある者の占める比率が著しく上昇していることである。これは短期処遇に，特に顕著に認められ，交通短期処遇では46.1%と約半数の者が，暴走族に加入歴のある者によって占められている。

IV-19図　短期処遇の区分及び長期処遇別新収容者の不良集団加入歴(昭和55年)