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 昭和56年版 犯罪白書 第4編/第2章/第2節/4 

4 収容少年の特質

(1) 知能及び精神状況
 昭和55年における家庭裁判所関係鑑別終了少年のうち,知能指数の判明している1万9,074人の知能段階別構成比は,知能指数59以下が1.3%,60〜69が4.0%,70〜79が19.0%,80〜89が27.3%,90〜99が26.5%,100〜109が16.0%,110〜119が4.7%,120以上が1.2%である。
 IV-44表は,昭和55年の家庭裁判所関係鑑別終了者のうち,収容鑑別を行った者について,非行名と精神診断の関係を見たものである。まず,総数において精神障害のある者の比率は2.6%で,その内訳は,精神薄弱が1.4%,精神病質が0.2%,神経症が0.1%,その他の精神障害が0.9%である。これを非行名別に見ると,殺人で神経症4.2%,その他の精神障害4.2%,放火で精神薄弱12.5%,その他の精神障害8.9%となっている。

IV-44表 非行名別・精神診断別構成比(昭和55年)

(2) 非行名と年齢
 IV-45表は,昭和55年における収容少年の非行名と年齢層の関係を見たものである。収容少年の非行名の構成比は,窃盗(自動車以外)の23.7%が最も高く,虞犯の13.4%,窃盗(自動車)の8.9%,道路交通法違反の8.6%,傷害の7.0%の順になっている。また,年齢層別構成比を男女別に見ると,男子の場合,16歳未満の年少少年が11.3%,16歳及び17歳の中間少年が35.8%,18歳以上の年長少年が52.9%であるが,女子の場合,それぞれ39.3%,43.2%,17.5%で,男女を比べると,男子では年長少年の比率が,女子では年少少年の比率が高くなっている。

IV-45表 非行名別・年齢層別構成比(昭和55年)

IV-46表 問題行動の種類別構成比(昭和53年〜55年)

 年齢と非行名との関係を男子について見ると,年少少年では,窃盗(自動車以外),虞犯,窃盗(自動車),中間少年では,窃盗(自動車以外),窃盗(自動車),道路交通法違反,年長少年では,窃盗(自動車以外),道路交通法違反,傷害の順となっている。女子について見ると,年少少年では,虞犯,窃盗(自動車以外),毒物及び劇物取締法違反,中間少年では,虞犯,窃盗(自動車以外),覚せい剤取締法違反,年長少年では,覚せい剤取締法違反,虞犯,窃盗(自動車以外)の順になっている。
(3) 問題行動
 IV-46表は,最近3年間における収容少年の問題行動を,種類別,男女別に見たものである。男子について,最近3年間増加傾向にある問題行動は,性経験あり,麻薬・覚せい剤の常用及び有機溶剤の常用で,昭和55年の比率は,それぞれ71.4%,4.7%,26.7%となっている。女子について見ると,麻薬・覚せい剤の常用及び有機溶剤の常用が増加傾向にあり,55年では,それぞれ10.6%,22.7%である。また,55年の問題行動について男女の比率を比べると,女子における性経験あり,家出の常習及び麻薬・覚せい剤の常用,男子における無免許運転の常習は,他方よりも明らかに高くなっている。