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恩赦には,[1]大赦(有罪の言渡しを受けた者については,その効力を失わせ,また,まだ有罪の言渡しを受けない者については,公訴権を消滅させる。),[2]特赦(有罪の言渡しを受けた特定の者に対し,その効力を失わせる。),[3]減刑(刑を減軽し,又は刑の執行を減軽するほか,刑の執行猶予中の者については,刑の減軽と併せて猶予の期間をも短縮させることができる。),[4]刑の執行の免除(刑の言渡しを受けた特定の者に対し,刑の執行を免除する。),[5]復権(有罪の言渡しを受けたため法令の定めるところにより資格を喪失し,又は停止されている者に対して,その資格を回復させる。)の5種類がある。
恩赦は,これを行う方法から見ると,政令で罪や刑の種類,基準日等を定めて,これに該当する者に対して一律に行われる政令恩赦と,特定の者に対して個別的に審査した上で行われる個別恩赦とに大別される。個別恩赦は,更に,政令恩赦施行の際などに内閣の定める基準により一定の期間を限って行われる特別恩赦と,常時行われる常時恩赦とに分けられる。 個別恩赦は,検察官,刑務所長又は保護観察所長が,職権により又は本人からの出願に基づいて中央更生保護審査会に上申し,同審査会が審理を行った上,特赦,減刑,刑の執行の免除又は復権を相当と判断して,その実施につき法務大臣に申出をした者に対し,閣議で決定して行われる。 昭和55年における常時恩赦の受理・処理状況は,III-85表のとおりである。55年中に中央更生保護審査会が新たに受理した人員は205人で,同年に恩赦の閣議決定が行われた人員は194人であり,前年に比べて,新規受理人員で50人減少したが,恩赦が行われた人員では19人増加している。なお,55年中に同審査会が恩赦不相当とした人員は,31人である。 III-85表 常時恩赦の受理及び処理人員(昭和54年,55年) III-86表 常時恩赦の種類別人員(昭和54年,55年) 次に,恩赦が行われた者の恩赦の種類別人員は,III-86表のとおりで,復権が160人で最も多く82.5%を占め,刑の執行の免除がこれに次いでいる。刑の執行の免除が行われた30人中23人は,無期刑で仮出獄中の者である。復権は,既に更生した者で前科のあることが社会的活動の障害や精神的負担となっている場合に,これを除去し,また,刑の執行の免除は,既に更生した無期刑の仮出獄者について保護観察を終了させるものであり,ともに,これらの者の一層の社会復帰を促進する刑事政策的役割を果たしている。 |