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 昭和56年版 犯罪白書 第3編/第3章/第3節 

第3節 更生緊急保護

 犯罪前歴のある者は,犯罪に陥りやすい負因を有する者が多いばかりでなく,社会からも疎外されがちで,社会生活をする上において,困難な諸条件下にあり,再犯の危険性を少なからず有しているものと見られる。そこで,犯罪を行った者の再犯防止と改善更生を図るために,保護観察の対象とならない一定の者について,更生緊急保護の措置を講ずることとしている。
 更生緊急保護の措置は,[1]満期釈放者及び仮出獄期間満了者,[2]懲役・禁錮・拘留刑の執行を免除された者,[3]懲役・禁錮刑の執行猶予の言渡しを受け,裁判が確定するまでの間の者,[4]懲役・禁錮刑の執行猶予者で,保護観察に付されなかった者,[5]起訴猶予者,[6]婦人補導院退院者・同院仮退院期間満了者について,これらの者が,親族,縁故者等からの援助若しくは公共の衛生,福祉その他の施設からの保護を受けることのできない場合,又はこれらの援助若しくは保護のみによっては更生できないと認められる場合において,刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後6月を超えない範囲内で行われる。
 保護措置の内容としては,食事,衣料の給与,医療の援助,帰住などのための旅費の支給等の一時保護と,更生保護会の施設に収容して行う宿泊の供与,これに伴う補導の実施等の継続保護があるが,これらの保護措置は,本人からの保護の申出があって,保護観察所長がその必要性を認めたときに行われる。

III-81表 更生緊急保護における一時保護の実施人員(昭和55年)

 昭和55年における更生緊急保護の実施状況は,III-81表及びIII-82表のとおりであって,一時保護を行った人員は3,479人で,その内訳は,食事給与が1,485人,衣料給与が672人,医療援助が47人,旅費支給が1,275人であり,継続保護を行った人員は4,832人である。

III-82表 更生緊急保護における継続保護の実施人員(昭和55年)

 更生緊急保護を受けた者の種類別人員では,一時保護,継続保護のいずれにおいても,刑の執行終了者(満期釈放者又は仮出獄期間満了者)が最も多く,起訴猶予者がこれに次いでいる。刑の執行終了者は,一時保護で65.0%,継続保護で81.6%を占めており,また,起訴猶予者は,一時保護で24.0%,継続保護で11.5%を占めている。