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 昭和56年版 犯罪白書 第3編/第3章/第2節/3 

3 保護観察の終了

(1) 保護観察終了時の状況
 昭和55年に保護観察を終了した総人員は,7万7,469人であり,このうち,交通短期保護観察処分少年2万9,367人及び婦人補導院仮退院者4人を除いた4万8,098人について,保護観察対象者の種類別に終了事由別の人員を見ると,III-77表のとおりである。保護観察処分少年について見ると,解除によって終了した者が62.0%を占め,一方,12.8%の者が,再犯等を理由に新たな処分を受けたことにより,保護処分を取り消されて終了している。少年院仮退院者においては,満期・満齢によって終了した者が61.3%を占め,戻し収容及び保護処分取消しによる終了者の合計の比率が21.1%であって,退院による終了者の比率17.2%を上回っている。仮出獄者においては,期間満了によって終了した者の比率が94.0%と極めて高く,仮出獄取消しによる終了者は5.0%にすぎない。なお,27人の仮出獄者が恩赦により刑の執行を免除亭れている。保護観察付執行猶予者においては,期間満了による終了者の比率が68.2%であり,執行猶予の取消しによる終了者が30.3%と高い比率を示している。III-9図は,これを図示したものであり,満期又は満齢終了者について,保護観察成績別の構成比を示している。良好措置によって保護観察を終了した者及び成績良好で満期又は満齢に至った者の合計の割合を見ると,保護観察処分少年の70.2%が最も高く,保護観察付執行猶予者の39.8%,少年院仮退院者の35.7%がこれに次ぎ,仮出獄者の29.5%が最も低い。

III-77表 保護観察事件種類別・終了事由別終了人員(昭和55年)

III-9図 保護観察終了事由別構成比(昭和55年)

III-78表 保護観察終了者の主要罪名・非行名別再犯率(昭和55年)

(2) 保護観察中の再犯等
 昭和55年に保護観察を終了した者のうち,交通短期保護観察処分少年及び婦人補導院仮退院者を除いた者について,保護観察期間中に,再度の非行・犯罪により保護処分又は刑事処分(起訴猶予を含む。)を受けた者の比率(以下「再犯率」という。)を,主要罪名・非行名別に見ると,III-78表のとおりである。処分を受けた者の総数は9,321人で,再犯率は19.4%となっている。保護観察対象者の種類別に再犯率を見ると,保護観察付執行猶予者の36.5%が最も高く,仮出獄者の2.6%が最も低い。仮出獄者の再犯率が著しく低いのは,仮出獄者の場合,保護観察期間が概して短いことによるものと考えられる。罪名・非行名と再犯率との関係を見ると,総数においては,毒物及び劇物取締法違反の30.7%が最も高く,以下,虞犯25.8%,窃盗24.7%の順である。保護観察処分少年においては,毒物及び劇物取締法違反の30.9%が最も高く,窃盗の30.7%がこれに次ぎ,少年院仮退院者においては,窃盗38.1%,毒物及び劇物取締法違反32.5%,仮出獄者においては,強盗6.5%,強姦5.4%,保護観察付執行猶予者においては,覚せい剤取締法違反53.8%,窃盗43.2%の順となっており,特に,保護観察付執行猶予者における覚せい剤取締法違反が,50%を超える高い再犯率を示していることが注目される。なお,III-79表は,55年における再犯率を前年と比較して示したものであるが,少年の再犯率は上昇し,成人では逆に低下している。

III-79表 保護観察終了者の保護観察中における再犯率(昭和54,55年)

 仮出獄者に対する保護観察の実施結果を刑務所への再入所状況で見ると,III-80表のとおりである。昭和49年から53年までに仮出獄で出所した者のうち,出所後第3年目までに21.5%ないし26.5%の者が再入所している。なお,これを満期釈放で出所した者の出所後第3年目までの再入所率と比較すると,いずれの年においても,仮出獄者の再入所率は満期釈放者のそれのおおむね半分となっている。

III-80表 仮出獄者と満期釈放者の再入所状況(昭和49年〜53年)