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 昭和56年版 犯罪白書 第2編/第2章/第1節/5 

5 判  決

 金融機関強盗を犯して検挙された犯人が裁判所でどのような処遇(成人に対する刑罰,少年に対する処分)を受けたかについて,検察庁の調査データによって見ると,次のとおりである。なお,検察庁データによる前記128人のうち,調査対象期間内に実刑の確定判決を受けた者は95人であり(執行猶予の確定判決を受けた者は1人),そのほか,家庭裁判所で保護処分(試験観察を含む。)を受けた少年が9人,精神病院に措置入院になった者が7人,未確定8人などである。
 実刑判決を受けた被告人95人に対する判決は,懲役3年を超え5年以下が38.7%で最も多く,次いで懲役3年以下の27.4%,5年を超え7年以下の20.0%の順となっている(II-40表)。この宣告刑を懲役5年(強盗の法定刑の下限。ただし,未遂減軽,酌量減軽等によって,実際の宣告刑は法定刑を下回ることが多い。)で区分して見ると,懲役5年以下が61.1%,5年を超えるものが38.9%である。更に,比較的重い判決と言える懲役7年を超える判決は18.9%となっている。

II-40表 金融機関強盗被告人に対する判決の刑期(昭和54年1月〜55年6月)

 なお,家庭裁判所に送致された少年10人の処分は,検察官送致が1人(判決は懲役4年以上7年以下で一審確定。前記II-40表の中に計上した。),少年院送致が5人,保護観察が3人,試験観察中が1人である。
 金融機関強盗の量刑を強盗一般の量刑と対比して見ると,電算化犯歴から無作為抽出した50万人中,昭和54年及び55年において強盗罪により実刑に処せられた者の刑期は,総数190人のうち,懲役5年以下が74.2%,5年を超えるものが25.7%であり,また,7年を超えるものは11.5%である(II-41表)から,金融機関強盗に対する最近の判決は,強盗一般の判決より重い傾向を示している。

II-41表 電算化犯歴による強盗罪の判決の刑期(昭和54年,55年)