前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和56年版 犯罪白書 第2編/第2章/第1節/2 

2 逮捕状況

 1年6月の調査対象期間内に全国で発生した金融機関強盗188件のうち,検挙されたのは128件である(検挙率68.1%)。この検挙事件に関する検察庁の前記128人の調査データによって逮捕の種別を見ると,警察の現行犯逮捕が32.8%,一般人の現行犯逮捕が25.8%であり,併せて現行犯逮捕が検挙人員の約6割を占めている。これに対し,緊急逮捕と通常逮捕は,それぞれ約2割である(II-12表)。

II-12表 金融機関強盗犯人の逮捕の種別(昭和54年1月〜55年6月)

 犯行から逮捕までの時間を見ると,1時間以内に逮捕された者が59.4%を占めており,前記の現行犯逮捕の比率とほぼ一致している。更に,24時間以内に逮捕された者13.3%を加えると,金融機関強盗で検挙された犯人の約4分の3は,犯行から1日以内に逮捕されたことを示している(II-13表)。
 逮捕の端緒を見ると,店内での格闘又は追跡による逮捕が38.3%,警察の緊急配備による逮捕が35.2%であり,検挙人員の約4分の3が犯行現場及びその周辺において,警察の迅速な検挙活動と市民の協力によって逮捕されたことを示している。防犯カメラ,モンタージュ写真,遺留品等による犯人の特定を端緒とする逮捕は14.8%と比較的少ないが,これは後述のように,金融機関における防犯カメラ等の設置率が低いのに対し,非常通報装置の設置率は高いので,同装置による通報等に基づく警察の迅速な初動捜査が犯人検挙に大きな比重を占めることによるものであろう(II-14表)。

II-13表 金融機関強盗犯人の逮捕までの時間(昭和54年1月〜55年6月)

II-14表 金融機関強盗犯人の逮捕の端緒(昭和54年1月〜55年6月)