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 昭和55年版 犯罪白書 第4編/第3章/第4節/3 

3 処遇の推移

(1) 分類処遇
 保護観察における処遇を効果的に行うため,昭和46年10月1日以降,処遇分類制度が実施されている。この制度は,対象者を処遇の難易に応じてAとBの二段階に分類し,処遇が困難であると予測されるA分類の者に対しては,保護観察官による,計画的・積極的な処遇活動を行おうとするものである。
 昭和47年及び50年以降の各年末現在のA-B分類の実施状況を見たのが,IV-76表である。処遇困難としてAに分類されているものは,係属中の事件のほぼ1割前後であるが,51年以降はその比率が減少傾向を示し,54年は7.7%となっている。

IV-76表 保護観察処分少年に対する分類処遇実施状況(昭和47年,50年〜54年各12月31日現在)

IV-77表 交通短期保護観察処分少年に対する集団処遇実施状況(昭和52年〜54年)

(2) 集団処遇
 増大する交通犯罪少年に対応するため,昭和52年4月,交通短期保護観察が導入され,保護観察官による集団処遇を中心とする新しい保護観察が開始された。交通短期保護観察の集団処遇実施回数及び参加人員をこの制度開始以来の3年間について見たのが,IV-77表である。実施回数,参加人員のいずれも増加し,54年では,5万1,810人に対して3,342回の集団処遇が実施され,1回平均15.5人が集団処遇に参加している。
(3) 救護の措置
 保護観察処分に付されている少年が住居や職業がないなどのために更生が妨げられるおそれがある場合には,応急の救護の措置がとられるが,昭和41年以降における措置の状況を見てみると,IV-78表のとおりで,近年,減少の傾向を示している。措置の内容を見ると,41年には,食事給与が664人で最も多く,次いで食事付宿泊供与の464人となっていたが,54年には,食事付宿泊供与が159人で最も多く,食事給与が90人でこれに次いでいる。医療援助はわずか4人にすぎない。
(4) 所在不明
 昭和35年以降の各年末現在の所在不明率を見たのが,IV-79表である。保護観察処分少年の所在不明率は他の事件種別に比べ比較的低率であるが,年次別に見ると,35年に6.0%であったものが,その後おおむね逐年減少し,54年には2.8%となっている。

IV-78表 保護観察処分少年に対する救護の措置(昭和41年,40年,45年,50年,54年各12月31日現在)

IV-79表 保護観察処分少年の所在不明率

(5) BBS
 保護観察処分少年などの少年の対象者に対しては,保護観察官及び保護司による保護観察に併せて,BBS会員によるゝゞともだち活動"が行われている。昭和35年以降の3月末日現在におけるBBS会員数及びともだち活動の対象人員を見たのが,IV-80表である。会員数・ともだち活動の対象人員とも,50年まではおおむね減少傾向が見られたが,51年以降はおおむね横ばいで,54年では,会員数が7,903人,ともだち活動の対象人員が839人となっている。

IV-80表 BBSの会員数及びともだち活動対象人員