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 昭和55年版 犯罪白書 第4編/第3章/第1節/3 

3 収容少年の特徴

(1) 性別及び年齢
 IV-49表は,昭和26年以降における新収容少年の年齢層別構成比及び女子比(新収容少年総数に対する女子の比率をいう。)を見たものである。年齢層は,いずれの年次においても,年長(18歳以上),中間(16歳・17歳),年少(16歳未満)の順に比率が高いが,年少少年について見ると,26年の16.6%以降かなりの増減があり,45年には7.6%にまで減少したが,50年に14.0%,54年には16.1%へと,近年増加傾向にある。一方,中間少年は,40年に41.1%と最も高い比率を示したが,54年には35.6%となり,年長少年は,45年の62.0%が最高で,54年には48.3%となっている。

IV-49表 年齢層別構成比及び女子比

IV-50表 非行名別構成比

 女子比は,26年から50年までの間,おおむね10%前後を推移してきたが,54年には14.2%と最高の比率を示している。
(2) 非行名
 IV-50表は,昭和30年以降における新収容少年の非行名別構成比を見たものである。いずれの年次においても窃盗は最も高い比率を示す非行名であるが,30年の52.7%から53年の40.3%へと減少している。一方,53年では毒物及び劇物取締法違反及び覚せい剤取締法違反が高い比率を示していることは注目される。
(3) 精神状況
 IV-51表は,昭和30年以降における家庭裁判所関係鑑別終了少年の知能指数段階別構成比の推移を見たものである。知能指数69以下の少年の比率は,30年の15.8%から次第に減少し,54年には5.0%となっている。
 IV-52表は,昭和30年以降における前記対象少年について,精神診断別構成比の推移を見たものである。精神診断のうち,精神障害なしの少年の比率は,30年の75.4%から逐次増加し,54年には96.8%になっている。精神薄弱は30年の12.9%を最高に,54年には1.8%,精神病質は30年の10.2%を最高に,54年には0.3%,神経症は30年の0.6%を最高に,54年に0.1%と,いずれも54年は最低を示している。しかし,精神分裂病等を含むその他の精神障害は,30年以降1%程度を持続している。
 IV-53表は,昭和30年以降における前記対象少年について,医療措置を必要とする少年の比率を見たものである。総数について見ると,最低は35年の6.5%で,最高は54年の11.7%である。男女別に見ると,いずれの年次においても医療措置を必要とする少年の比率は,女子が男子よりも高いが,男子においては35年の5.5%が最低,54年の10.8%が最高であり,女子においては30年の14.5%が最低,45年の24.6%が最高である。

IV-51表 知能指数段階別構成比

IV-52表精神診断別構成比

IV-53表 医療措置を必要とする少年の比率