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 昭和55年版 犯罪白書 第4編/第3章/第1節/2 

2 鑑別状況

 少年鑑別所の鑑別の種類には,家庭裁判所の観護措置による収容鑑別,家庭裁判所が少年の身柄を収容しないで鑑別を求める在宅鑑別,法務省関係の少年院や保護観察所の長などの依頼による依頼鑑別,  一般社会人の依頼による一般鑑別があるが,IV-45表は,昭和26年以降におけるこれらの種類別鑑別受付人員構成比の推移を見たものである。これによると,総数の最高は40年の8万418人,最低は30年の3万4,618人であり,54年は4万8,119人となっている。種類別に構成比の推移を見ると,家庭裁判所関係の比率は,30年までは90%以上を占めていたが,その後逐次低下し,54年は40.1%になっている。法務省関係は,50年以降比較的大きな比率を占めるようになり,54年には20.6%にまで増加したが,このうちの15.2%は保護観察所長からの依頼によるものである。一般鑑別は,個人又は学生などの集団を対象にして,地域社会の非行防止等に資することを目的とするものであるが,35年以降大きな比率を占めるようになり,54年においては39.3%となっている。以上のとおり,鑑別の種類別受付人員は,30年までは家庭裁判所が主であったが,35年から一般鑑別へ広がり,50年以降法務省関係の比率が高まっている。

IV-45表鑑別受付人員構成比

IV-46表 交通事犯少年鑑別実施人員

 昭和80年代に入って業過や道交違反の非行が増加したため,これらの少年に対するいわゆる交通鑑別の必要性が認められ,請求されるようになった。当初,交通鑑別の方法について統一的なものはなかったが,各庁において研究が進められ,38年ごろには交通適性検査器具類も整備され,本格的に実施されることとなった。IV-46表は,36年以降における交通事犯少年の鑑別実を見たものである。実施人員の総数は,36年以降46年まで逐年増加し,47年以降多少減少したものの,52年から再び増加し,54年には1万289人となっている。このうちの収容鑑別は,39年に1,000人を超えた後,おおむね一貫して1,000人台が続いているが,在宅及び依頼鑑別は,37年以降急増を続け,46年には1万人近くに達し,54年も8,935人であって,この種の鑑別の大多数を占めることとなっている。

IV-47表鑑別判定別構成比施人員の推移

 IV-47表は,昭和26年以降における家庭裁判所関係鑑別終了少年の鑑別判定別構成比の推移を見たものである。鑑別判定のうち最も比率の高いものは,35年までは収容保護であったが,40年以降においては在宅保護である。しかし,50年と54年を比べると,在宅保護は59.4%から49.8%へ減少し,収容保護は30.8%から47.0%へ増大しており,このうち初等及び中等少年院判定の比率の増加が顕著である

IV-48表審判決定別構成比

 IV-48表は,前記の対象少年について,昭和26年以降における審判決定別構成比の推移を見たものである。いずれの年次においても,試験観察を除くと,保護観察,収容保護及び不処分・審判不開始の比率が高いが,保護観察は30年の22.0%を最低に逐次増加し,54年は37.4%になっている。一方,収容保護は26年の31.2%を最高に,45年の19.4%まで次第に減少したが,50年に20.9%,54年には27.6%へと増加した。不処分・不開始については,26年以降おおむね10%前後を推移してきたが,54年には最も低い7.2%を示している。また,検察官送致は26年の6.6%を最高に,その後,50年までおおむね5%前後の比率を継続してきたが,54年には2.4%と最低になっている。