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 昭和55年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/2 

2 観護状況

 少年鑑別所における観護処遇は,的確な鑑別が実施でき,少年が安んじて審判を受けられ,かつ,少年の出所後の自立,更生の契機となるように,所内の環境を明るく平静なものに整え,規則正しい生活の日課時限を定め,日常の生活指導を行うとともに,必要に応じて,後述する探索処遇を実施している。また,観護業務は,以上の処遇のほか,収容少年の身柄の保全と規律の維持に責任を負っている。
 近年,各少年鑑別所において,「探索処遇」が実施されている。これは,日課の中に,集団討議,心理劇,日誌・作文・読書指導等,さまざまな処遇場面を設け,少年の特性に応じて選択的に実施し,その働きかけに対する少年個々の反応から少年の生の姿をとらえ,その結果を家庭裁判所の審判,更に保護処分決定後の処遇指針に役立てようとするものである。この実施は,観護処遇をより充実させ,観護と鑑別の有機的一体化を促進するための方策ともなり得るものであり,全国的に試行が推進されつつある。
 III-42表は,昭和53年及び54年における少年鑑別所入所人員及び1日平均収容人員を見たものである。54年における入所人員は1万7,051人で,前年に比べて1,205人増加している。また,1日平均収容人員は916人で,前年より83人増加している。

III-42表 少年鑑別所入所人員及び1日平均収容人員

 III-43表は,昭和53年及び54年における少年鑑別所退所事由別人員及び構成比を見たものである。54年における退所人員総数1万6,892人のうち,施設間の移送等を除いて最も比率の高い退所事由は,保護観察の31.5%,次いで,少年院送致の24.2%,試験観察の17.0%,観護措置取消しの7.5%,審判不開始・不処分の5.5%,検察官送致の2.3%,教護院・養護施設送致の1.6%の順となっている。54年は前年に比べて,保護観察が602人,少年院送致が297人増加している。

III-43表 少年鑑別所退所事由別人員