前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和55年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/2 

2 少年審判

 III-34表は,昭和31年,40年,50年,53年及び54年における家庭裁判所受理人員を事件の種類別に見たものである。54年における受理人員総数は54万820人で,前年よりやや増加している。そのうち道路交通保護事件が29万5,214人(54.6%)を占め,一般保護事件については,業過が10.0%,虞犯が0.8%,業過を除く刑法犯及び特別法犯は,合わせて34.6%となっている。道路交通保護事件は前年より減少しているが,一般保護事件は,すべての事件で前年より増加している。53年における受理人員総数を40年と比べると,ほぼ半減しているが,これは道路交通保護事件の減少によるものであり,一般保護事件ではほとんど変化はない。

III-34表 少年保護事件の家庭裁判所受理人員

 III-35表は,業過及び虞犯を除く一般保護事件について昭和30年,40年,50年,53年及び54年における家庭裁判所の処理状況を見たものである。54年の処理人員総数は15万8,974人で,前年より1万9,569人増加している。そのうち刑事処分相当として検察官に送致された人員は,673人(0.4%)にすぎない。54年に少年院送致及び保護観察の処分を受けたものはそれぞれ3,860人(2.4%),1万2,139人(7.6%)で,実数ではいずれも前年より増加しているが,比率では横ばいを示している。審判不開始及び不処分とされたものの比率は,全体の89.0%を占めている。54年において,刑事処分相当として検察官送致となった者,少年院送致となった者及び保護観察処分を受けた者の各比率は,40年と比べるといずれも大幅に下降している。

III-35表 少年一般保護事件の家庭裁判所処理人員

 III-36表は,昭和33年,40年,50年,52年及び53年における業過及び虞犯を除く一般保護事件の中間少年及び年長少年について,家庭裁判所の処理状況を罪種別に見たものである。長期的に見ると,検察官送致及び保護処分の各比率は下降しているが,54年においては,総数及び各罪種で,検察官送致及び保護処分の各比率とも前年よりわずかではあるが上昇しており,特に,保護処分については,凶悪犯において63.9%から65.2%へ,粗暴犯において18.1%から21.2%へと上昇している。
 III-37表は,昭和53年における業過及び虞犯を除く一般保護事件の家庭裁判所処理状況を罪名別に見たものである。処理人員総数は13万9,405人で,そのうち窃盗が8万9,375人(64.1%)と最も多く,毒物及び劇物取締法違反の1万4,933人(10.7%),傷害の6,246人(4.5%)がこれに次いでいる。刑事処分相当として検察官に送致された少年は608人で,そのうち窃盗が126人と最も多く,傷害(106人),強姦(55人)の順となっている。

III-36表 中間・年長少年一般保護事件の罪種別家庭裁判所処理人員

III-37表 少年一般保護事件の罪名別家庭裁判所処理人員

 III-38表は,昭和53年における家庭裁判所の交通関係業過を除く一般保護事件の処理状況を処分歴別に見たものである。処分歴のない少年は,0.2%が検察官に送致され,5.7%が保護処分に付されているが,処分歴のある者では,1.3%が検察官に送致され,28.1%が保護処分に付されており,処分歴の回数が多くなるにつれて検察官送致,保護処分の比率が高くなっている。

III-38表 少年一般保護事件の前処分歴別家庭裁判所処理人員

 III-39表は,昭和30年,40年,50年,52年及び53年における交通事犯少年の家庭裁判所処理状況を見たものである。業過(その大部分は,自動車交通によるものである。)の処理状況を見ると,検察官に送致されるものの比率は,40年当時38.7%であったが,53年には12.8%に減少している。一方,少年院送致と保護観察を合計したものの比率は,30年当時の2.3%から上昇を続け,53年には18.8%となっている。次に,道交違反の処理状況を見ると,30年当時4.1%にすぎなかった検察官送致の比率が上昇を続け,51年に19.6%に達したが,52年には17.7%に下降し,53年では15.0%となっている。少年院送致と保護観察を合計したものの比率は,30年当時の0.4%から上昇し,53年には10.0%になっているが,そのほとんどが保護観察である。

III-39表 交通事犯少年の家庭裁判所処理人員

 III-40表は,昭和30年,40年,50年,52年及び53年における虞犯少年に対する家庭裁判所の処理状況を見たものである。少年院送致及び保護観察に処せられたものは,実数も総数に対する比率も50年以降上昇し,53年には両者の合計は,実数で1,136人,比率で38.9%となり,犯罪少年の場合より相当高い比率を示している。

III-40表 虞犯少年の家庭裁判所処理人員