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 昭和55年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/6 

6 保  安

 行刑施設の安全と秩序を維持する作用は,収容者処遇が円滑に行われるための基礎となるものである。行刑施設には,近年暴力団関係者の入所が増加しており,とりわけ,新受刑者中に占める暴力団関係者の増加には顕著なものがある。
 II‐48表は,最近4年間の各年末における受刑者中に占める暴力団関係者の数及び比率である。昭和54年末には,受刑者中4人に1人が暴力団関係者となっている。暴力団関係者は,ややもすると所内で結合して職員を威圧し,あるいは他の集団と反目対立して重大事故を招きやすい。その対策としては,必要に応じて分散移送するほか,関係機関とも緊密な連携を保って必要な措置をとるなどの施策が講じられている。

II-48表 暴力団関係受刑者数

 II-49表は,行刑施設において発生した逃走等の主要な事故の発生状況を示すものである。昭和54年の事故発生件数は,計14件であり,この数字は,暴力団関係受刑者の増加などによって,施設の安全と秩序の維持に特段の注意と努力が必要とされる情勢下にありながら,戦前・戦後を通じて,これまでの最低を示している。

II-49表 行刑施設事故発生状況