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2 収賄事犯 I-55表は,昭和45年から49年までの5年間(以下本節において「前期」という。)と50年から54年までの5年間(以下本節において「後期」という。)にそれぞれ収賄罪で検挙された人員の多かった公務員(いわゆる「みなす公務員」を含む。)の職種につき,上位10位までを掲げて,その比較をしてみたものである。前期・後期とも,土木・建築関係の地方公務員が第1位,地方公共団体の各種議員が第2位を占め,この両者の検挙人員総数中に占める比率は,前期で42.1%,後期で43.6%となっている。前期56人で第5位であった農林関係の地方公務員が,後期では9人増加して65人で第3位に上昇している。前期第4位の農林水産省関係,同第6位の大蔵省関係が後期では10位以下になっているが,これに代わり,前期10位以下であった運輸省関係,郵政省関係が後期では,それぞれ第8位,第9位となっていることが注目される。なお,収賄事件の全検挙人員について見ると,後期は前期に比べ,実数で508人,比率で29.1%減少している。この種犯罪は,収賄者,贈賄者の双方が罰せられ,特定の被害者が存在しないから,極めて潜在性が強く,その取締りが困難なこともあり相当数の暗数がありうると考えられる。ところで,最近の地方公共団体の首長による多額収賄事犯を見ると,53年には,市長が3人起訴され,その起訴に係る賄賂総額は約8,900万円,54年には,県知事が1人,市長が2人起訴され,その起訴に係る賄賂総額は約9,600万円に上っている。
I-55表 収賄公務員の所属別検挙人員 I-56表 収賄事件通常第一審科刑状況 I-56表は,昭和49年以降5年間について収賄事件の通常第一審における科刑状況を刑期別に示したものである。53年において懲役刑に処せられた者は前年より15人増加して178人となり,各刑期の者とも前年より増加している。懲役1年以上の刑に処せられた者の比率は,49年以降上昇傾向にあったが,53年には,前年より2.3%減少して51.7%となっている。執行猶予率について見ると,52年以前は90%を超えていたものが,53年には89.9%と減少し,実刑人員も,52年の11人から53年には18人に増加している。 |