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1 概 況 最近5年間における暴力団の勢力の推移を団体数及び構成員数によって見ると,I-42表のとおりである。昭和38年を頂点として団体数及び構成員数とも減少傾向にあり,54年末における暴力団は,団体数で2,517団体,構成員数で10万6,754人となり,前年に比べ,団体数で8団体,構成員数で1,946人それぞれ減少となっている。いわゆる広域暴力団(2以上の都道府県にわたって組織を有する暴力団をいう。)の占める比率は,54年末現在,団体数で80.1%,構成員数で59.3%と依然として高く,暴力団の連合化,系列化をめぐる組織間の対立抗争事犯もあとを断たない状況にある。
I-43表は,この種対立抗争事犯の発生件数及び銃器使用状況を最近5年間について見たものである。昭和54年における発生件数の総数は,前年より1件増の19件,銃器使用件数も3件増の16件で,銃器使用件数の比率はこれまでの最高である84.2%に達しており,依然として凶器使用事犯が多発する傾向にある。 I-42表 暴力団の団体数及び構成員数 I-43表 暴力団対立抗争事犯の発生件数 銃器等の凶器をできるだけ多数押収することは,暴力団取締りの重点の一つであるが,最近5年間における押収凶器を種類別に示すと,I-44表のとおりである。昭和54年における押収凶器総数は5,961で,前年より1,863の減少となっているが,これは,数年来の厳しい取締りにより,多数のけん銃等の凶器が押収されたことから,暴力団が凶器の隠匿を一層巧妙化したためであろう。押収凶器を種類別に見ると,けん銃は,前年より114丁減の907丁であるが,そのうち真正けん銃は,前年より66丁増の462丁で,押収けん銃中の50.9%と半数を超えている。I‐44表 暴力団関係者からの押収凶器数 暴力団の資金源は,従来からの覚せい剤密売,のみ行為,売春,賭博等に加え,総会屋,企業恐喝,倒産整理への介入等の知能暴力,各種の保険制度を悪用しての詐欺事犯等によっており,不法利益の獲得の多角化,知能化の傾向が見られる。 |