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 昭和54年版 犯罪白書 第4編/第2章/第3節/2 

2 保護観察

 法務省保護局の調査によると,暴力団関係の仮出獄者と保護観察付執行猶予者の各実人員,及びそれぞれの総数中に占める百分比は,IV-23表に示すとおりである。総数中に占める比率は高くなく,保護観察付執行猶予者に占める比率は減少傾向を示しているが,暴力団関係者で保護観察に付されている者は,昭和54年4月末日でなお1,513人が見られる。

IV-23表 保護観察に付されている暴力団関係者の人員(昭和51年8月,52年4月,53年6月,54年4月)

 暴力団関係者が保護観察に付されるに当たっては,裁判所及び地方更生保護委員会において慎重な審理が行われているが,保護観察所においても,裁判所及び地方更生保護委員会から送付される資料を参考として,詳細な処遇計画を立てることとしている。処遇に当たっては,保護観察官又は保護司による接触を密にして行状を見守り,家族その他関係者の協力を得て正業に従事させることを重点として指導し,必要に応じて保護観察所に呼び出して調査しているが,保護観察を忌避して居住場所を転々とする者も見られ,また,保護観察の期間中は遵守事項を守りながら,保護観察期間満了後に再犯する者もあり,暴力団関係の対象者には,処遇困難な者が多い。