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2 新収容者の特性 昭和24年以降の少年院新収容人員の推移は,III-5図及びIII-55表に示すとおりで,50年以降増加傾向にある。53年における新収容者数は,前年に比べて502人増加の3,779人であり,その種別及び処遇課程別内訳は,III-56表及びIII-57表のとおりである。
III-56表 新収容者の少年院種別人員(昭和53年) III-57表 新収容者の処遇課程別人員(昭和53年) 昭和52年以降における新収容者数の増加は,前述のとおり,少年院の運営改善が図られ,少年非行の多様化に対応する処遇の多様化,特に,短期処遇が定着してきたことによるところが大きいと考えられる。しかし,この新収容人員は,近年における家庭裁判所の年間終局決定人員約40万人の1%にも足りない人員であり,資質・環境又は事犯内容において相当問題の著しい者のみが収容されている状況は,従来とあまり変わっていない。III-58表 新収容者の年齢別人員(昭和51年〜53年) III-59表 新収容者の非行名別人員(昭和51年〜53年) 新収容者を年齢別に見ると,III-58表のとおりで,男子に年齢の高い者が多く,女子は逆に年齢の低い者が多くなっており,女子収容者の低年齢化が続いている。新収容者の非行名別人員はIII-59表のとおりで,全体としては,例年のとおり窃盗が最も多く,新収容者数全体の増加の主要な部分を担っている。増加の顕著なものに,覚せい剤取締法違反があり,そのほか,実数としてはそれほど多くはないものの,殺人,強姦・わいせつ,放火等が前年より増加しているのが注目される。また,従来,矯正統計年報において特別法犯中のその他の欄に計上されていた毒物及び劇物取締法違反が,昭和53年から1項目として計上されるようになっているが,これも近年増加傾向にあり,注意を要するものと考えられたためであろう。男女別に見ると,男子では窃盗が約半数を占めて最も多く,強姦・わいせつ等の性犯罪や,傷害,恐喝等の粗暴犯が多く,女子では虞犯が約半数で最も多いのが特徴で,次いで窃盗となっているが,覚せい剤取締法違反が女子の非行総数に占める比率は男子の場合をはるかに上回っている。 III-60表 新収容者の処分歴の内容別構成比(昭和53年) 新収容者のうち,処分歴のある者の処分内容別の構成比は,III-60表に示すとおりである。全体で8割近くの少年に処分歴があり,短期処遇対象少年についても,一般短期の場合で74,8%,交通短期の場合で87.4%と,長期処遇対象少年のそれとほとんど相違が見られない。処分歴の内容を見ると,短期処遇では,不開始・不処分及び保護観察歴のある者が多いのに対し,長期処遇では,教護院・養護施設送致及び少年院送致歴のある者が多くなっている。新収容者の教育歴及び非行時の職業は,III-61表及びIII-62表に見るとおりである。教育歴については,中学卒業及び高校中退で約85%を占め,特に,高校中退者の増加が続いている。職業については,無職者が57.1%で最も多い。 新収容者の精神状況については,精神薄弱3.7%,精神病質0.7%,その他の精神障害2.3%であって,少年鑑別所収容少年のそれと比較して,精神障害者の比率はいくぶん高くなっている。 III-61表 新収容者の教育歴別人員(昭和51〜53年) III-62表 新収容者の非行時の職業別人員(昭和51年〜53年) |