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犯罪前歴のある者は,犯罪に陥りやすい負因な有するものが多いばかりでなく,世間からも疎外されがちで,社会生活に順応して行くうえで困難な諸条件の下にあり,再犯の危険性を少なからず有しているものと見られる。
そこで,犯罪を行った者の再犯防止と改善更生を図るために,保護観察の対象とならない一定の者について,更生緊急保護の措置を講ずることとしている。 更生緊急保護の措置は,[1]満期釈放者及び仮出獄期間満了者,[2]懲役・禁錮・拘留刑の執行を免除された者,[3]懲役・禁錮刑の執行猶予の言渡しを受け裁判が確定するまでの間の者,[4]保護観察が付かない懲役・禁錮刑の執行猶予者,[5]起訴猶予者,[8]婦人補導院退院者・同院仮退院期間満了者について,これらの者が親族,縁故者等からの援助若しくは公共の衛生福祉その他の施設からの保護を受けることのできない場合,又はこれらの援助若しくは保護のみによっては更生できないと認められる場合において,刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後6箇月を超えない範囲内で行われる。 措置の内容としては,食事の給与,帰住などのための旅費の支給,衣料の給与,医療の援助等の一時保護及び継続的な宿泊の供与とこれに伴う補導の実施等の継続保護があるが,これらの措置は,本人からの保護の申出があって,保護観察所長がその必要性を認めたときに行われる。 昭和53年における更生緊急保護の実施状況は,II-74表及びII-75表のとおりである。一時保護を行った人員は3,912人で,その内訳は,食事給与が1,659人,旅費支給が1,468人,衣料給与が693人,医療援助が92人の順になっており,更生保護会の保護施設に収容して行う継続保護を行った人員は,5,072人である。 II-74表 更生緊急保護における一時保護の実施人員(昭和53年) II-75表 更生緊急保護における継続保護の実施人員(昭和53年) 更生緊急保護を受けた者の種類別では,一時保護及び継続保護のいずれにおいても,満期釈放者又は仮出獄期間満了者である刑の執行終了者が最も多く,一時保護で59.7%,継続保護で78.9%を占めている。次いで起訴猶予者が多く,一時保護で28.6%,継続保護で13.6%を占めているが,刑の執行猶予者は一時保護で11.7%,継続保護で7.5%を占めるにすぎない。 |