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 昭和54年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節/9 

9 交通犯罪受刑者の処遇

  (1)交通犯罪受刑者の収容状況
 II-48表は,業過(その大多数は,交通犯罪である。)及び道路交通法違反の新受刑者を刑名・刑期・罪名別に見たものである。最近の傾向として,刑名別に見ると,懲役受刑者の数が増加し,禁錮受刑者の数が減少しており,昭和53年では,前年に比べて,懲役では817人の増加,禁錮では123人の減少となっている。また,罪名別では,道路交通法違反により懲役に処せられた者の比率が増大しており,53年では,交通犯罪による懲役受刑者の60.7%に達している。

II-48表 交通犯罪新受刑者の刑名・ 刑期・罪名別人員(昭和40年,45年,51年〜53年)

  (2)交通犯罪受刑者の処遇
 交通犯罪受刑者のうち,禁錮受刑者については,昭和36年から,一定の基準により特定施設に集禁して開放的処遇が行われてきたが,交通犯罪で懲役刑に処せられる者の増加に伴い,東京矯正管区管内では,51年11月から市原刑務所において,大阪矯正管区管内では,53年4月から加古川刑務所において,禁錮受刑者と同様な集禁基準を設けて,処遇分類級のO級受刑者としての集禁処遇を行っている。集禁基準は,禁錮・懲役受刑者共に,開放的処遇が適当と判定された成人で,[1]交通事犯以外の犯罪による懲役刑を併有しないこと,[2]交通事犯以外の犯罪による受刑歴がないこと,[3]刑期がおおむね3月以上であること,[4]心身に著しい障害がないことの諸条件を満たすものとされている。
 集禁施設における処遇は,開放的処遇として生活指導,職業訓練,職業指導等を活発に行うことにその特色がある。生活訓練については,遵法精神,人命尊重及び責任観念の養成に重点が置かれ,また,職業指導については,各人の自動車運転に対する適性,将来の生活設計などを考慮して,自動車の運転・整備に関するもののほか,溶接,高圧ガス,ボイラー,調理などの職業技能の開発を行うこととしている。