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 昭和54年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節/4 

4 教育活動

 受刑者に対する教育活動としては,入所時教育,出所時教育,教科教育,通信教育,生活指導,篤志面接委員による助言指導,体育及びレクリエーション指導などがあり,教育の実施に当たっては,職員はもちろん,それ以外の民間の篤志家等も参加しており,また,ラジオ,テレビ,映画,ビデオ・テープレコーダー等の視聴覚機器も広く活用されている。
 入所時教育は,新たに入所した受刑者に対し,矯正及び保護の目的と機構,所内規則,処遇の概要,保護関係の調整,釈放後の生活設計等の教示及び指導を行うことに重点が置かれ,入所時の精神状態を安定させるとともに,矯正処遇の目的と実際を理解させ,有意義な受刑生活を送り,社会に復帰するための心構えを持たせることとしている。
 出所時教育は,社会情勢,出所に関する諸手続,更生保護,職業安定,社会福祉等の制度や利用手続などの解説及び教示,釈放後の生活設計に関する助言・指導を中心に行われている。
 教科教育は,それを必要とする受刑者に対して実施されている。これを教科内容について見ると,義務教育未修了者又は修了者中の学力の低い者に対して,国語,数学,社会その他の必要な科目の履修及び補習を行っている(少年受刑者については,第3編第2章第4節参照)。更に,向学心のある者に対する高等学校通信制課程の受講制度も設けられている。昭和53年中の教科教育履修人員は3,537人であり,その学歴別内訳は,義務教育修了者2,107人,同未修了者444人,高等学校中退者584人,同卒業者402人となっている。
 通信教育は,主として学校通信教育と社会通信教育により,受刑者の教科教育及び教養向上の一環として行われている。受講者には,受講に要する費用の全額を国が負担する公費生と,受講者自らが負担する私費生とがある。昭和53年度中の受講生は,公費生・私費生合わせて4,154人となっている。
 生活指導は,受刑者の自覚に訴え,規則正しい生活及び勤労の精神を養い,共同生活を営む態度,習慣,知識,技術等をかん養することを目的として行われるもので,受刑者の日常生活を通じて,しつけ教育,規律訓練,一般講演,読書指導,社会見学,クラブ活動,集会,委員会活動(給食,図書,放送,衛生等の各委員会活動)などを行うとともに,個別又は集団カウンセリングが実施されている。
 篤志面接委員制度は,昭和28年に発足したもので,個々の受刑者が抱いている精神的な悩みや,家庭,職業,将来の生活設計などの問題について,民間の学識経験者,宗教家,更生保護関係者等の助言指導を求めて,その解決を図ろうとするもので,実施以来,逐年活発化し,受刑者の処遇に定着したものとなっている。昭和53年末現在の篤志面接委員の総数及び面接回数を示すのが,II-39表及びII-40表であり,委員1人当たりの面接回数は10.3回となっている。

II-39表 篤志面接委員数(昭和53年12月31日現在)

II-40表 篤志面接相談内容別実施状況 (昭和53年)

II-41表 宗教教誨実施状況(昭和53年)

 信仰を有する者,宗教を求める者及び宗教的関心を有する者のために,民間の篤志宗教家(「教誨師」と呼ばれる。)による宗教教誨を受ける機会が与えられている。宗教教誨は,受刑者がその希望する宗教の教義に従って,信仰心を培い,徳性を養い,進んで更生の契機を得ることに役立たせようとするもので,死刑確定者及び無期刑受刑者に対する宗教教誨は,特に優れた成果を上げている。昭和53年末現在における教誨師の数は1,373人である。宗教教誨の実施状況を見たのが,II-41表であり,教誨師1人当たりの教誨実施回数は,11.3回となっている。