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 昭和54年版 犯罪白書 第2編/第1章/第2節/6 

6 審理期間

 II-24表は,昭和48年以降5年間の通常第一審における審理期間を裁判所別に見たものである。地方裁判所について見ると,3箇月以内に終局に至るものの比率は,48年の42.6%から52年の56.5%へと著しく増加し,6箇月を超えるものの比率は,大きく減少しており,終局総人員が50年以降増加を続けている中で,審理期間は短縮化に向かっている。なお,罪名別の審理期間を52年について見ると,6箇月以内に終局するものの比率は,全体では84.6%であるが,収賄(26.8%),公職選挙法違反(49.6%)などでは低く,外国人登録法違反(98.4%),常習累犯窃盗(96.5%)などでは高い。ちなみに,52年において終局事件中に自白事件の占める比率は,全体では84.9%であるが,収賄(37.8%),公職選挙法違反(54.4%)などでは低く,外国人登録法違反(98.4%),常習累犯窃盗(93.4%)などでは高くなっている。
 簡易裁判所について見ると,3箇月以内に終局するものの比率は,昭和48年の72.4%から52年の77.9%へと上昇し,6箇月を超えるものの比率は低下しており,ここでも審理期間の短縮化が見られるが,地方裁判所と比べると,その変化は小さい。48年及び52年において6箇月以内に終局したものの累積比率によって両裁判所を比較すると,地方裁判所は75.0%から84.6%となり,簡易裁判所は88.9%から92.2%となっており,その差は次第に縮小しつつある。
 次に,起訴時を起算点とする上訴審における審理期間を昭和48年以降5年間について示すと,II-25表のとおりである。控訴審について見ると,6箇月以内に終局するもの及び6箇月を超えて1年以内に終局するものの比率は,全体として,いずれも次第に増加して52年にはそれぞれ18.1%,47.7%となっており,1年を超えるものの比率は,おおむね減少を続けている。また,上告審について見ると,1年以内に終局するものの比率は,終局総人員の減少に伴って51年まで上昇を続けたが,終局総人員の増加した52年には,前記比率は低下して28.4%となった。一方,3年を超えるものの比率は,48年の13.6%から52年の19.7%まで上昇しており,特に,7年を超える審理期間を要したものの比率は,上昇の傾向にある。

II-24表 通常第一審の審理期間の構成比(昭和48年〜52年)

II-25表 起訴から上訴審終局までの審理期間の構成比(昭和48年〜52年)