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5 勾留と保釈 通常第一審の被告人のうち勾留された者の比率(勾留率)及びその中で保釈を許可された者の比率(保釈率)は,地方裁判所と簡易裁判所とでは大きな差がある。昭和48年以降5年間における裁判終局総人員中の勾留・保釈人員を裁判所別に見ると,II-22表のとおりである。地方裁判所について見ると,勾留率は,49年の64.6%から上昇して52年には68.1%となり,一方,保釈率は,毎年低下を続けて52年には44.6%となっている。勾留期間を見ると,1箇月以内のもの及び3箇月を超えるものの比率はこの5年間次第に減少し,1箇月を超え3箇月以内のものが5割に近づきつつある。なお,52年における勾留率を罪名別に見ると,業過(16.8%)及び道路交通法違反(26.4%)が極端に低く,この両者を除けば,全体の勾留率は87.5%となる。刑法犯は,収賄(88.2%)など一部を除いて,大部分の罪名が90%を超えており,常習累犯窃盗(98.9%),強盗致死傷(98.0%)などが中でも高い比率を示しているが,特別法犯は概して低く,勾留人員の実数では8,587人と全罪名中の首位を占ある覚せい剤取締法違反も,勾留率では89.9%にすぎない。同年における罪名別の保釈率を見ると,収賄の100%と常習累犯窃盗の0.9%が両極端に位置するほか,強盗致死傷(8.6%),外国人登録法違反(16.2%)などが低く,公職選挙法違反(97.6%),競馬法違反(88.8%)などが高い。
II-22表 通常第一審終局総人員の身柄状況(昭和48年〜52年) 簡易裁判所について見ると,勾留率は,昭和48年の70.8%から52年の76.7%まで上昇しており,地方裁判所のそれより高率であるが,業過及び道路交通法違反を除けば,52年で86.1%となり,地方裁判所の場合(87.5%)よりやや低率となっている。保釈率は,逐年低下して52年には19.6%となっており,地方裁判所の半分以下の比率である。なお,昭和53年末現在で地方裁判所に係属中の被告人2万8,764人の勾留率は65.6%,保釈率は48.1%であり,同様簡易裁判所に係属中の被告人5,328人の勾留率は57.7%,保釈率は20.2%である。 保釈許可決定における保釈保証金の金額を昭和50年以降3年間について見ると,II-23表のとおりである。50年には,50万円未満が全体の60.4%を占め,70万円以上は14.3%にすぎなかったが,次第に高額化し,52年には,50万円未満は34.8%に減少し,70万円以上は29.8%に増加している。 なお,昭和53年末現在の全裁判所における保釈中の逃亡者は711人であり,前年末に比べ110人減少した。 II-23表 通常第一審の保証金額別保釈許可決定(昭和50年〜52年) |