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 昭和54年版 犯罪白書 第1編/第2章/第4節/2 

2 日本人の国外犯

 I-40表は,最近5年間における日本人の出国者を渡航先別に示したものである。出国者の総数は,昭和51年以降毎年10%以上の比率で増加を続け,53年には約353万人に達した。これを渡航先別に見ると,53年においては,約54%が台湾を初めとするアジア地域であり,約32%はアメリカとなっている。
 日本人の国外における犯罪について,国際刑事警察機構等を通じて警察庁が通報を受理した件数は,I-41表のとおりである。通報受理件数は,昭和49年まで一貫して増加を続けていたが,50年以降は増減を繰り返しており,53年には前年より6件増加して120件となっている。罪名別に見ると,全般的に減少ないし横ぼい状態にあるが,関税・為替管理事犯には50年以降増加傾向が見られ,53年には,同事犯及び麻薬・覚せい剤事犯だけで全体の50%を占めるに至っている。
 昭和53年の犯罪地は,世界の各地域に及んでおり,韓国が35件と前年に引き続き最も多かったほか,タイ12件,フィリピン7件,インド6件,その他アジア諸国7件,アメリカ18件,フランス7件,その他28件となっている。

I-40表 渡航先別日本人出国者数(昭和49年〜53年)

I-41表 日本人国外犯の罪名別通報受理件数(昭和49年〜53年)