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 昭和53年版 犯罪白書 第4編/第2章/第5節/1 

第5節 少年の更生保護

1 少年の仮釈放

 ここでは,少年院在院者の仮退院及び不定期刑受刑者の仮出獄に焦点を当てて述べる。
(1) 少年院からの仮退院等
 地方更生保護委員会は,少年院在院者が矯正処遇の最高段階である段階処遇上の一級の上に達し,保護観察に付することか本人の更生のために相当であると認めたとき,又は矯正処遇の最高段階には達しないが,少年の努力によって院内成績が向上し,保護観察に付することか本人の更生のため特に必要であると認めたとき,仮退院の許可決定を行う。
 最近5年間に,全国の地方更生保護委員会が少年院長から受理した仮退院申請人員は,IV-68表に示すとおりである。
 昭和52年6月から全国の少年院は,一般短期処遇,交通短期処遇,長期処遇の別に運営されることになったが,この処遇別に地方更生保護委員会の仮退院申請受理,処理の状況を見ると,IV-69表のとおりである。

IV-68表 地方更生保護委員会の仮退院申請受理人員(昭和48年〜52年)

 少年院からの出院には,前述の仮退院のほか,満期・満齢による退院,また,地方更生保護委員会の許可決定による退院がある。この許可決定による退院は,同委員会の審理の結果,在院者の資質,生活歴,少年院内の生活状況,将来の生活設計,帰住後の環境等から,社会の順良な一員として自立することが確実であり,かつ,保護観察に付する必要がないと認めたときに行われる。最近5年間について,少年院出院事由別人員を見ると,IV-70表のとおりで,仮退院による出院者が最も多く,退院決定による出院者は極めて少ない。

IV-69表 処遇別少年院仮退院事件の受理・処理状況(昭和52年6月〜12月)

IV-70表 少年院からの仮退院・退院別人員(昭和48年〜52年)

(2) 不定期刑受刑者の仮出獄
 不定期刑受刑者についての仮出獄審理手続及び仮出獄許可基準は,定期刑受刑者のそれと異なるところはないが,その要件期間は,刑の短期の三分の一経過である。最近5年間の不定期刑受刑者に対する仮出獄の許否の状況は,IV-71表に示すとおり,仮出獄の申請棄却率が定期刑の場合に比べて著しく低く,非累犯の定期刑と比べてもなお概して低いと言える。
 仮出獄を許可された者について,出所の日が短期経過前であるか,又は経過後であるかを見ると,IV-72表のとおり,経過後に出所する者のほうが多いが,近年,短期経過前に出所する者の割合は徐々に増加している。仮出獄を許可された者について,刑の長期を100として,出所までの執行済み刑期の割合を見ると,IV-73表のとおりで,比較的早期に仮出獄で出所を許される者の比率が次第に増加してきている。

IV-71表 不定期刑受刑者に対する仮出獄許否状況及び定期刑受刑者に対する棄却率(昭和48年〜52年)

IV-72表 不定期刑仮出獄の短期経過前・後の許可人員の比率(昭和48年〜52年)

IV-73表 不定期刑仮出獄者の執行率(昭和48年〜52年)