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 昭和53年版 犯罪白書 第4編/第2章/第2節/4 

4 少年鑑別所再入少年

 昭和52年における家庭裁判所関係収容鑑別終了少年1万2,420人について少年鑑別所の再入者(少年鑑別所入所が2度以上の者をいう。)を見ると,男子については1万703人のうち2,912人(27.2%)であり,女子については1,717人のうち320人(18.6%)である。
 収容少年の非行初発年齢(初めて警察の補導以上の措置を受けた年齢をいう。)を少年鑑別所の入所度数別に見たのが,IV-53表である。非行初発年齢が12歳以前である者の割合は,男女共に,入所度数が多い者ほど高くなっていて,犯罪を繰り返す者は早期に非行の発現を見ていることがわかる。特に,男子のほうが女子に比べてこの傾向が顕著である。なお,女子は,13歳・14歳,15歳の時に,男子より高い割合を示しており,この時期に非行化が急速に進むものと思われる。
 入所度数と再非行期間(ここでいう「再非行期間」とは,前回警察の補導以上の措置を受けた後,本件非行を行った時までの期間をいう。ただし,養護施設及び補導委託施設以外の収容施設に入っていた期間を除く。)との関係を,1年6箇月以内までの累積比で見ると,IV-54表のとおりである。男子の場合,入所2度目の者についての1箇月以内及び3箇月以内を例外として,入所度数が多くなるにつれて再非行期間が短くなっていく傾向が認められる。女子の場合には,入所度数2度目の者のほうが3度以上の者より短期間で再非行に陥っている。

IV-53表 少年鑑別所収容少年の入所度数別非行初発年齢の構成比(昭和52年)

IV-54表 少年鑑別所収容少年の入所度数別再非行期間(累積比)(昭和52年)

IV-55表 少年鑑別所収容少年の入所度数別家庭問題状況の構成比(昭和52年)

 次に,家庭の問題との関連性を入所度数別に見たのが,IV-55表である。
 まず,男子については,1,621人(15.2%)の者に父母間葛藤の問題があり,次に,しつけ不一致が9.2%,低文化が9.2%となっている。入所度数の多い者ほど高率を示す傾向が見られるものとしては,父母間葛藤,しつけ不一致,崩壊離散,本人疎外などがあって,家庭内の人間関係に問題があることを示している。
 女子についても同様の傾向が認められるが,男子に比べて,父母間葛藤,崩壊離散,本人疎外及び家族間不和の割合が高率になっている。女子のほうが男子よりも家庭内に問題があるとき,その影響を受けで非行に陥りやすいと言えよう。