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 昭和53年版 犯罪白書 第4編/第2章/第1節/2 

2 少年検察

 昭和52年の少年被疑事件の検察庁新規受理人員は,42万6,440人で,その内訳は,刑法犯が総数の39.1%に当たる16万6,675人,道交違反が総数の59.5%に当たる25万3,729人,その他の特別法犯が総数の1.4%に当たる6,036人となっている。52年においては,前年に比べて,総数で2万9,010人(7.3%),刑法犯で1,976人(1.2%),道交違反で2万6,990人(11.9%),その他の特別法犯で44人(0.7%)のそれぞれ増加となっている。
 道交違反を除く新規受理人員について,主要罪名別の人員及びその構成比を前年と比較したのが,IV-34表である。刑法犯については,最も多いのは窃盗の54.1%であり,次いで業務上(重)過失致死傷の27.4%となり,両者で刑法犯全体の8割強を占めている。以下,傷害,横領,暴力行為等処罰に関する法律違反,恐喝の順になっている。昭和45年から減少傾向に転じた業務上(重)過失致死傷の受理人員は,本年も引き続き減少し,逆に,横領は,43年以来の増勢が続いている。他方,道交違反を除く特別法犯の新規受理人員の中では,銃砲刀剣類所持等取締法違反が減少し,その他の特別法犯が近年上昇の傾向にあるが,その主なものは,毒物及び劇物取締法違反及び覚せい剤取締法違反の増加によるものである。
 なお,昭和52年の新規受理人員について,年齢層別にその比率を見ると,IV-35表のとおりである。年齢層別では,年長少年が最も多く,総数の48.8%を占めている。
 次に,昭和52年中における検察庁の少年被疑事件処理状況を見ると,既済総数(家庭裁判所からいわゆる逆送を受けた者の処理数を除く。)は46万1,264人であり,検察庁間の移送を除くと42万2,855人で,そのうち,家庭裁判所送致は99.8%に当たる42万1,852人である。その他は,年齢超過後の処分が108人,不起訴(嫌疑なし)・中止が895人となっている。
 検察官は,少年事件を家庭裁判所に送致するに当たり,少年の処遇に関して意見を付することかできる。IV-36表は,昭和52年中の家庭裁判所終局決定人員総数について検察官の処遇意見を見たものである。総数の43.0%について刑事処分相当,2.3%について少年院送致相当,11.8%について保護観察相当,42.9%についてその他の意見となっている。罪種別に見ると,刑事処分相当の意見を付した割合が最も多いのは道路交通法違反で,刑法犯がこれに次いでいるが,過失傷害を除く刑法犯について見ると,その割合は2.3%にすぎない。一方,少年院送致相当及び保護観察相当の意見を付したものの割合は,いずれも,過失傷害を除く刑法犯及びその他の特別法犯に多くなっている。また,年齢層別に見ると,刑事処分相当意見の比率は,年長少年に対して高く,中間少年に対して低くなっており,逆に,保護観察相当及びその他の意見は,年少になるに従って高率となっている。

IV-34表 少年被疑事件の罪名別検察庁新規受理人員(昭和51年,52年)

IV-35表 少年被疑事件の年齢層別検察庁新規受理人員(昭和52年)

 家庭裁判所から検察官に送致される,いわゆる逆送事件において,昭和52年に家庭裁判所から送致された犯罪少年の数は5万3,330人で,そのうち,刑事処分相当の理由による者が88.7%に当たる4万7,307人(年長少年4万1,875人,中間少年5,432人)であり,残りの11.3%に当たる6,023人は,年齢超過の理由によるものである。刑事処分相当を理由として送致された事件について,52年における検察庁の処理状況を見ると,IV-37表のとおりである。起訴総数の87.7%が特別法犯中の道交違反によって占められ,刑法犯は12.1%となっているが,その刑法犯の大部分は業務上(重)過失致死傷によって占められている。また,起訴総数の97.9%が略式命令請求又は即決裁判請求であり,公判請求は2.1%にすぎない。公判請求人員総数は822人で,刑法犯が大部分を占め,罪名別に見ると,業務上(重)過失致死傷の477人が最も多く,以下,窃盗,強制わいせつ・同致死傷,強姦・同致死傷,傷害の順になっている。

IV-36表 罪種別・年齢層別検察官処遇意見の比率(昭和52年)

IV-37表 逆送少年被疑事件の罪名別処理状況(昭和52年)