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5 その他の特徴 (1) 少年の再犯
昭和30年代の後半以降における再犯少年(ここでは,本件以前に家庭裁判所の処分歴のある犯罪少年をいう。)の動向を示したのが,IV-20表である。 処分歴のある刑法犯犯罪少年は,近年減少傾向にあり,51年では構成比22.0%と,35年以降最低の数値となっている。これに対して,処分歴のある特別法犯犯罪少年は,多年にわたり減少傾向を続けた後,50年に至って増勢に転じ,51年では35年以降最高の34.7%という比率を示している。両者の対照的な動きから見て,最近の少年犯罪は,刑法犯については一過性の犯罪が多く,特別法犯については処分歴のある少年によって繰り返される傾向が強いと言えよう。 IV-21表 一般保護少年の非行別・前処分の有無(昭和51年) また,これらの再犯少年について非行名との関連を見ると,IV-21表の示すとおり,昭和51年では,強盗及び強姦について40%を上回っているのをはじめ,詐欺,殺人,恐喝,傷害及び暴行等についてその比率が高く,他方,横領及び窃盗については低くなっている。少年の再犯と相関の高いものは,凶悪犯,粗暴犯及び詐欺等であり,この種の犯罪が再犯傾向の強い少年によって犯されている点が注目される。なお,再犯と特別法犯との関連については,毒物及び劇物等取締法において再犯率が特に高くなっている。IV-22表 前回処分後の再犯期間の推移(昭和48年〜52年) 次に,最近における再犯期間(前回処分から本件犯行に至るまでの期間)の推移を見たのが,IV-22表である。昭和48年以降における全般的な傾向として,前回処分後3月未満で再犯に陥った者は総数の約20%,6月未満の者は約40%,そして1年未満の者は約65%となっており,過半数が1年以内に再犯に陥っている。52年においても,この傾向に特に大きな変化は認められないが,1年未満の再犯者の比率がおよそ70%に達するなど,再犯に陥る速度は更に加わっている。 (2) 地域と,少年犯罪 少年犯罪の発生は,地域によってかなりの差異がある。IV-23表は,昭和42年以降における少年犯罪の地域別発生状況の推移を,またIV-24表は52年における罪名別構成比をそれぞれ見た.ものである。最近の特徴のある傾向として,郡部の減少,大都市の増加及び中小都市の横ばいを挙げることができる。依然として少年犯罪の都市部集中,とりわけ大都市周辺の衛星都市や地方中小都市への拡散化傾向が引き続いているとも見ることができよう。 次に,各地域と罪名との関連を見ると,いずれの地域においても窃盗が過半数を占め,傷害・暴行がこれに次いでいる。地域と関連の深い罪名としては,郡部における強姦・強制わいせつ,大都市における横領及び脅迫・恐喝などが挙げられる。 IV-23表 犯罪少年の地域別検挙人員構成比(昭和42年,44年,46年,48年,50年,52年) IV-24表 少年犯罪の罪名別・地域別検挙人員(昭和52年) |