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3 各種の少年犯罪 (1) 少年の交通犯罪
昭和52年に交通関係の業務上(重)過失致死傷により警察に検挙された少年は,4万3,373人で,少年刑法犯検挙人員の26.6%を占め,前年と比較して若干の減少を示している。しかし,自動車等の運転に関する道路交通法違反(ここでは,自動車の保管場所の確保等に関する法律違反を含む。)により,警察から検察庁及び家庭裁判所へ送致された少年の総数は,27万82人で,前年より2万5,086人の増加となっている。 IV-6表は,最近5年間における少年の業務上過失致死傷及び重過失致死傷の検察庁新規受理人員の推移を示したものである。最近の傾向として,業務上過失致死傷については実数で漸減傾向にあるものの,全般的には横ばい,重過失致死傷については実数・構成比共に減少傾向を示している。なお,例年,業務上過失致死傷に比べて,重過失致死傷における少年の占める比率が大きいが,重過失致死傷の多くは無免許運転に伴う事故によるものである。 IV-6表 少年の業務上(重)過失致死傷検察庁新規受理人員(昭和48年〜52年) 少年の道路交通法違反は,昭和48年以降再び増加傾向にあり(IV-5表参照),52年における警察の取締件数は,前年より13万1,534件増加して118万163件となっている。特に,46年以降微減傾向にあった少年の構成比が9.5%(前年より0.6%増加)と増加に転じたことが注目される。また,少年の道路交通法違反を態様別に見ると,最高速度違反(構成比28.1%),無免許(同7.4%)など危険性の高い行為の占める比率が大きい。少年の交通犯罪の防止は,依然として現下の重要な課題と言えよう。 (2) 女子少年犯罪 IV-7表は,昭和26年以降の女子少年刑法犯検挙人員の推移を罪種別に示し,また,IV-8表は,52年における罪名別状況を,年齢層別に男子少年と対比して示したものである。 昭和30年代以前において,極めて低率であった女子少年刑法犯の検挙人員及び女子比(少年刑法犯検挙人員中に占める女子少年の割合)は,40年代後半以降高率の増加傾向を示し,50年代では,人員・女子比共に30年代以前の約3倍という高い数値に達している。52年においても,この傾向に変わりはなく,総数2万3,527人,女子比19.7という戦後最高の数値を示している。 IV-7表 罪種別女子少年刑法犯検挙人員の推移(昭和26年,30年,35年,41年,45年,50年〜52年) IV-8表 少年刑法犯罪名別・男女別年齢層別検挙人員構成比(昭和52年) 次に,罪種・罪名別にその内容を見ると,昭和40年代後半以降における財産犯及び粗暴犯の増加が特に著しい。財産犯,とりわけ窃盗は,52年においても前年より更に増加して構成比93.0%という高率を占め,依然として女子少年犯罪を特徴づける罪名となっている。また,粗暴犯及び凶悪犯は,前年に比べて若干の増減はあるものの,全般には横ばいであり,52年においても女子比の高水準は引き続いている。更に,罪種別・年齢層別に昭和52年の動向を見ると,財産犯については中間少年の,粗暴犯については年少少年の占める比率がいずれも高く,男子少年の場合とは若干様相を異にしている。 このように,最近の女子少年犯罪は急激な増加傾向にあり,男子少年の横ばいないし微減傾向(IV-7表参照)とは対照的な動きとなっている。このことは,最近における少年犯罪増加の第三波が,女子少年犯罪の比重の増大や急激な増加率の上昇に基因するところが少なくないことを示すものと言えよう。女子少年犯罪の粗暴化など,その質的な変化とともに,今後の動向に関心を払う必要があろう。 |