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仮出獄は,その許可基準に該当すれば,刑法上の累犯受刑者,非累犯受刑者の別なく許可される。しかし,累犯受刑者は,非累犯受刑者に比べると,社会復帰上問題のある者が多いために,矯正施設の長から仮出獄相当として申請される者の割合が低く,また,申請がなされた者に対する地方更生保護委員会の申請棄却率が高く,仮出獄による出所者の割合が低くなっている。更に,仮出獄を許可された累犯者と非累犯者について,刑の執行率を見ると,累犯者には,刑の執行率の高い者が多く,その分だけ仮出獄期間が短くなっている。III-40表は,最近5年間について,新入受刑者総数のうち累犯者の占める比率と,地方更生保護委員会の仮出獄審理既済事件総数のうち累犯者の占める比率とを対比したものである。累犯者は,新入受刑者中50%前後を占めているのに対比し,仮出獄審理の対象となった者の中では40%に満たない。
III-40表 新入受刑者及び仮出獄審理対象者中の累犯者の比率(昭和48年〜52年) 矯正施設の長は,仮出獄申請後,地方更生保護委員会の許否決定前の段階で,施設内の規律違反その他仮出獄申請を相当としない事情が見いだされたとき,申請を取り下げることがある。III-41表は,最近5年間について,申請取下げの数と,審理既済総数に占める比率とを,累犯・非累犯の別に見たものであり,累犯者の場合,規律違反等で取り下げられる者の比率が高い。III-41表 仮出獄審理における取下げの状況(昭和48年〜52年) 累犯・非累犯の別に仮出獄許否状況を見ると,III-42表のとおりで,累犯者の棄却率がかなり高いことがわかる。III-42表 累犯・非累犯別定期刑受刑者に対する仮出獄許否状況 (昭和48年〜52年) 最後に,仮出獄を許可された定期刑受刑者について,累犯・非累犯の別に刑の執行率を見ると,III-43表のとおりである。総数においても,執行すべき刑期の段階別においても,累犯者には刑の執行率の高い者が多くなっている。累犯受刑者は,非累犯の受刑者に比べて,仮出獄を許される割合が低く,また,仮出獄を許されるにしても,相対的に刑の執行率が高く,それだけ保護観察期間が短くなっている。 III-43表累犯・非累犯別定期刑仮出獄者の刑の執行率(昭和52年) |