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4 再犯期間から見た累犯 累犯受刑者の特質は,その再犯期間(ここでは,前刑出所時から再犯犯行時までの期間をいう。)にも現れている。以下,毎年新たに刑務所に入所する受刑者中の再入受刑者について,その再犯期間を幾つかの観点から見ることとする。
(1) 全般的傾向 昭和25年から5年おきの各年及び52年の再入受刑者について,再犯期間を見ると,III-31表のとおりである。概して言えば,35年ころまでは,1年未満に再入受刑者の過半数が,3年未満にその8割以上が,5年未満でその9割以上が再犯し,5年を経過した後は,再犯の危険性は薄らいでいたが,45年前後から再犯期間が比較的長期化する傾向がうかがわれ,近年,5年経過後の再犯者が1割を超えてきている。 III-31表 再入受刑者の再犯期間別構成比 (2) 入所度数と再犯期間昭和50年から52年までの再入受刑者について,その入所度数と再犯期間との関係を見たのが,III-32表である。入所度数が2度目の者は,1年未満の再犯が三分の一に達しないが,5度の者については約半数,6度以上の者については約6割と多くなり,反対に,5年以上経過後の再犯の比率は,入所度数の多い者ほど低くなるなど,入所度数と再犯期間との間には,一定の関係がうかがわれる。 III-32表 再入受刑者の入所度数別・再犯期間別人員(昭和50年〜52年の累計) (3) 前刑刑期と再犯期間再入受刑者の前刑刑期とその再犯期間との関係を,昭和50年から52年までの再入受刑者について見たのが,III-33表であり,前刑刑期の長い者ほど再犯期間が長い傾向がうかがわれる。 III-33表 再入受刑者の前刑刑期別・再犯期間別人員(昭和50年〜52年の累計) (4) 前刑出所事由と再犯期間刑務所出所事由を満期釈放と仮釈放とに分けて,昭和50年から52年までの再入受刑者の再犯期間を見たのが,III-34表である。満期釈放者の約2割が3箇月未満に再犯をしているのに対して,仮釈放者では3箇月未満の再犯者は1割に達しない。また,5年以上の経過者は,満期釈放者では約1割,仮釈放者では約2割であり,仮釈放者のほうが再犯に至る期間の長い傾向が見られる。しかも,従来の統計によると,出所後5年間では仮釈放者の再入率は約3割で,満期釈放者の5割台と比べてほぼ2割低くなっている。以上のことから仮釈放者は満期釈放者に比べて再入率も低く,再犯の場合も比較的長く社会生活を続けた後に再犯をしていると言えよう。 III-34表 再入受刑者の再犯期間別・前刑出所事由別人員(昭和50年〜52年の累計) (5) 年齢と再犯期間III-35表は,前述の法務総合研究所の調査により,B級系統受刑者について,その年齢と再犯期間の関係を見たものである。3月未満で再犯をする者の比率が最も高いのは24歳未満の者で,次いで45歳から49歳までの者となっている。再犯期間1年未満で見ると,24歳未満の者では約8割,25歳から29歳までの者では6割強が再犯をしているのに対し,30歳代前半の者では約4割強が再犯をしているにとどまり,年齢層別では最も再犯率が低く,また,30歳代後半以降は,いずれも5割前後の再犯率で,年齢層別に顕著な差異は見られない。 III-35表 B級系統再入受刑者の年齢と再犯期間 |