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刑法犯検挙人員を,初犯者と,前に犯罪を犯して検挙されたことのある,いわゆる再犯者とに分けて,その推移を検討することとする。
III-1表は,昭和33年から37年,43年から52年までの刑法犯検挙人員中の再犯者率を,成人・少年別に示したものである。 まず,最近10年間における検挙人員総数中の再犯者率の推移を見ると,おおむね35%前後で推移しており,5年ごとの平均再犯者率で見ると,43年から47年までの5年間では36.3%であるのに対して,48年から52年までの5年間の平均再犯者率は,34.5%であり,全体的には,横ばいないしは若干の減少傾向にあると言えよう。 次に,この昭和48年から52年までの平均再犯者率(34.5%)を,更にさかのぼって,33年から37年までの5年間の平均再犯者率と比較すると,後者の平均再犯者率は34.5%であり,前者の平均再犯者率と等しい比率を示している。 III-1表 刑法犯成人・少年別検挙人員に占める再犯者率(昭和33年〜37年,43年〜52年) 戦後,昭和20年代の混乱期を脱し,ほぼ平常に復した30年代以降における我が国の刑法犯検挙人員中の再犯者率は,ほぼ横ばいであり,およそ35%を上下していると言うことができるであろう。更に,成人検挙人員及び少年検挙人員に分けて,最近10年間における再犯者率を昭和43年から47年及び48年から52年の各5年間の平均再犯者率によって見ると,成人の平均再犯者率は,前期5年間は38.5%,後期5年間は37.6%であり,また,少年の平均再犯者率は,前期31.2%,後期27.8%であって,成人検挙人員・少年検挙人員いずれについても,再犯者率は減少している。しかし,33年から37年の5年間の平均再犯者率を見ると,成人は36.7%であって,最近5年間の平均再犯者率より低く,少年は28.5%であって,最近5年間の平均再犯者率より高くなっている。 III-1図は,昭和52年及び43年について,刑法犯主要罪名別に再犯者の検挙人員及び構成比を,初犯者のそれと対比して示したものである。 刑法犯主要罪名別検挙人員の中で,昭和52年において再犯者の構成比が最も高いものは,恐喝の65.0%である。次いで,強盗致死傷・強盗強姦の61.7%,強盗の59.1%,傷害の51.8%,殺人の51.4%となっており,重大な犯罪において再犯者率の高いことが注目される。 III-1図 刑法犯主要罪名別・初犯者・再犯者の検挙人員及び構成比 III-2表 刑法犯主要罪名別再犯者の前回処分内訳(昭和52年) これを昭和43年の再犯者率と比べると,恐喝の再犯者率が最も高いこと,強盗致死傷・強盗強姦と強盗が順位に入れ替わりはあるものの,これに続いていることなど,類似した傾向も見られるが,他方,43年の賭博の再犯者率が47.3%と高く,また,傷害の再犯者率が39.5%と低かったのに対して,52年では,反対に,賭博の再犯者率は42.1%と低く,傷害の再犯者率は51.8%と高くなっている。特に,43年と対比すると,52年の傷害の再犯者率の上昇が目立つ。ところで,昭和52年刑法犯検挙人員中の再犯者12万3,779人(再犯者率34.1%)について,前回処分(2以上あるものは,本件検挙の時点に最も近い処分による。)と罪名との関係を見ると,III-2表のとおりで,再犯者中の構成比は,未決中が4.4%,少年の保護観察中が4.1%,執行猶予中・仮退院・仮出獄中等が10.1%,懲役・禁錮の執行終了後5年以内が15.9%,その他の執行終了が25.9%,起訴猶予が12.1%,審判不開始・不処分が15.0%となっており,懲役・禁錮執行終了後5年以内,その他の執行終了及び審判不開始・不処分がかなりの高率となっている。 懲役・禁錮の執行終了後5年以内の再犯の構成比は,全体では15.9%であるが,罪名別に見ると,詐欺,強盗致死傷・強盗強姦,強盗,殺人の場合は,いずれも25%を超えていることが注目される。 |