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恩赦には,大赦,特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権の5種があり,政令恩赦及び通常これに付随する特別恩赦又は常時恩赦として行われている。
政令恩赦及び特別恩赦は,昭和47年の沖縄復帰に際しての施行以後行われていない。なお,政令恩赦は一般恩赦ともいわれ,これに対して,特別恩赦及び常時恩赦は個別恩赦ともいわれている。 II-98表は,昭和50年以降最近3年間における常時恩赦の受理・処理状況を示したものである。常時恩赦は,検察官,刑務所長,保護観察所長が,本人からの出願に基づき又は職権で上申した者について,本人の性格,行状,違法の行為をするおそれの有無,本人に対する社会の感情等を調査し,恩赦を相当とする場合に常時行うものであり,50年以降毎年200人台の者に適用されている。 II-98表 常時恩赦の受理及び処理人員(昭和50年〜52年) 昭和52年に恩赦を受けた者の上申庁別の恩赦の種類別人員は,II-99表のとおりである。減刑が9人,刑の執行の免除が30人,復権が165人であって,復権が80.9%を占めている。また,上申庁別では,検察官から上申された者11人,保護観察所長から上申された者193人で,刑務所長から上申された者では恩赦を相当とされた者がいない。II-99表上申庁別恩赦人員(昭和52年) 昭和52年において刑の執行の免除を受けた者30人中24人までが,無期刑仮出獄中の者である。無期刑仮出獄者に関する恩赦の受理・処理状況は,II-100表のとおりである。復権の人員が増加しているが,復権は,法令上喪失又は停止された資格を回復させるばかりでなく,復権が認められると,本籍地の市区町村役場等に備え付けられている犯罪人名簿から本人の氏名等が削除され,前科まっ消と同様な効果があるため,犯罪前歴者に,新たな活力と社会人としての自信を与えることとなる。 II-100表無期刑仮出獄者の恩赦の受理及び処理人員(昭和52年) なお,常時恩赦及び特別恩赦は,中央更生保護審査会が恩赦相当と認めて法務大臣に恩赦の申出をし,閣議で恩赦が決定され,天皇の認証を受けて,その効力が発生する。 |