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 昭和53年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/11 

11 女子受刑者

(1) 女子受刑者の収容状況
 昭和52年における女子受刑者の1日平均収容人員は,907人であり,前年に比べて51人の増加となっている。また,女子の新受刑者は616人で,前年よりも46人増加している。新受刑者の中では,特別法犯,特に覚せい剤取締法違反が顕著に増加しており,前年に比べて構成比で約10%,実人員でも65人の増加である(II-43表参照)。
 これら女子受刑者を収容する施設としては,栃木刑務所,和歌山刑務所,笠松刑務所及び麓刑務所のほか札幌刑務所に独立した女区がある。女子受刑者は,その特性により,また,少数であることもあって,施設ごとの特殊・専門化は行われず,配偶者や子等との保護関係の維持・調整のために,原則として,受刑者の居住地に近い施設に収容されている。
 女子受刑者の年齢別では,約半数が40歳以上であり,高齢者が多い(II-38表参照)。配偶者の有無及び犯時職業を示すのが,II-62表及びII-63表である。既婚者が過半数を占め,7割近くが家事従事者及びその他の無職者となっている。

II-62表 男女別新受刑者の配偶者の有無(昭和52年)

(2) 女子受刑者の処遇
 女子施設における処遇は,その特性を考慮して,情緒の安定性を養うこと,家庭生活に関する知識及び技術を習得させること,教養と趣味を身に付けさせること,保護引受人の確保に努めることなどが,処遇重点事項とされている。また,開放的なふん囲気で,収容に伴う心理的な圧迫感をできる限り少なくするように配慮されている。
 女子受刑者に対する職業訓練も活発に行われており,昭和52年に出所した女子受刑者の中で職業訓練を受講した者は,80人であり,その内訳は,II-64表に示すとおりである。
 これらの生活指導,職業訓練と共に,女子受刑者については,医療及び母子衛生に特別の配慮が加えられている。特に,受刑者が妊産婦である場合には,出産は原則として外部の病院で行わせるなど,特別の保護的措置が執られている。更に,受刑者が1歳未満の実子を伴う場合には,その乳児を刑務所内の保育室で1歳になるまで育てることも許されている。1歳を超えた乳児は,一般の乳児施設又は保護者の下に預けられる。

II-63表 女子新受刑者の犯時職業(昭和52年)

II-64表 女子出所受刑者の職業訓練受講人員 (昭和52年)