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 昭和53年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/10 

10 交通犯罪受刑者

(1) 交通犯罪受刑者の収容状況
 昭和52年における業務上(重)過失致死傷(その大多数は,交通犯罪である。)及び道路交通法違反の新受刑者数は,II-59表に示すとおり,3,728人であり,前年に比べて83人の減となっている。刑種及び罪名別に見ると,禁錮については,業務上(重)過失致死傷,道路交通法違反が減少し,懲役については,業務上過失致死傷が減少し,重過失致死傷及び道路交通法違反が増加している。交通犯罪で懲役に処せられた者のうち,道路交通法違反による者の比率は増大傾向にあり,52年では57.3%に達している。
 II-60表及びII-61表は,新受刑者の刑期別・刑種別人員及び年齢層別人員を示すものである。52年では,40歳代の者の占める比率が3.5%(実人員では119人)増加し,20歳代の者は,逆に2.8%(実人員では143人)減少している。

II-60表 交通犯罪新受刑者の刑期別・刑種別人員(昭和40年,45年,50年〜52年)[1]禁錮

II-60表 交通犯罪新受刑者の刑期別・刑種別人員(昭和40年,45年,50年〜52年)[2]懲 役

(2) 交通犯罪受刑者の処遇
 交通犯罪受刑者のうち,禁錮受刑者については,昭和30年代の半ばから,一定の基準により特定施設に集禁して開放的処遇が行われてきたが,交通犯罪で懲役に処せられる者の増加に伴い,51年11月から,東京矯正管区管内の懲役受刑者について,禁錮受刑者と同様に集禁基準を設け,従来禁錮受刑者のみを収容してきた市原刑務所で集禁処遇を行っている。
 これら交通犯罪受刑者の集禁基準は,禁錮・懲役受刑者共に,開放的処遇が適当と判定された成人受刑者で,[1]交通事犯以外の犯罪による懲役刑を併有しないこと,[2]交通事犯以外の犯罪による受刑歴がないこと,[3]刑期がおおむね3月以上であること,[4]心身に著しい障害がないことの諸条件を満たすものとされている。

II-61表 交通犯罪新受刑者の年齢層別人員(昭和40年,45年,50年〜52年)

 集禁施設における処遇は,開放的処遇として生活指導,職業訓練,職業指導等を活発に行うことにその特色がある。特に,生活訓練については,遵法精神,人命尊重,責任観念の養成に重点が置かれ,また,職業指導については,各人の自動車運転に対する適性,将来の生活設計などを考慮して,自動車の運転・整備に関するもののほか,溶接,高圧ガス,ボイラー,調理などの職業技能の開発を行い,自動車の運転適性のない者に対しては,転職指導も行っている。